ナイトストーカーズ|特殊部隊を支援する第160特殊作戦航空部隊

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ナイトストーカーズ|特殊部隊を支援する第160特殊作戦航空部隊
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海軍のネイビーシールズ、陸軍のデルタフォース、海兵隊のマーゾック、これらの特殊部隊は特殊ミッションを行う際にヘリで潜入、脱出することは多い。この時をヘリを操縦するのはある特殊航空隊が担っている。それがアメリカ陸軍に所属する第160特殊作戦航空部隊「160th SOAR(160th Special Operations Aviation Regiment Airborne)」、通称「ナイトストーカーズ(NIGHT STALKERS)」といわれる部隊だ。

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パイロットのスキル

ナイトストカーズは、米陸軍の最高のヘリコプターパイロット集まった部隊だ。 都市、砂漠、山、水上といったあらゆる地形の飛行に対応し、航空攻撃から、降下ロープによる兵員降下、水上でのホバーリングからの乗り降り、特殊ボートのサポート、都市攻撃まで、幅広い飛行ミッションをこなすスペシャリストが集まっている。特殊作戦は夜間の暗闇での任務が多いため、特に夜間飛行の技術に優れており、NVG(ナイトビジョン)を装着した飛行に成熟している。
飛行技術だけではなく、基本的な戦闘任務、初動対応、陸上航行、白兵戦、武器、チームワーク、水難訓練について指導を受けており、様々な状況に対応できる。

3種のヘリコプター

ナイトストカーズは任務に応じてタイプの異なる3種類のヘリコプターを利用する。

UH-60 ブラックホーク(UH-60 Black Hawk)

UH-60 ブラックホーク( UH-60 Black Hawk )
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輸送から攻撃までこなせる中型多目的軍用ヘリコプター。機関銃、機関砲、ロケット弾を装備できる。最大乗員4名、乗客11名。

CH-47チヌーク(CH-47 Chinook)

CH-47チヌーク(CH-47 Chinook)
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大型輸送ヘリコプター。戦闘車両も運搬することができる。最大乗員3名、乗客55名。

MH-6リトルバード(Little Bird

MH-6リトルバード(Little Bird)
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攻撃・強襲用ヘリコプター。機銃以外にロケット弾、ミサイルが装備可能になっている。最大乗員2名、乗客4名。

ナイトストーカーズの歴史

ナイトストーカーズの誕生の契機は1980年にイランで起きた米国人人質救出作戦「イーグル・クロー作戦」の失敗からだ。この時、ヘリコプターの選択ミスとトラブルにより作戦が失敗しデルタフォースを含め多数の死傷者を出してしまう。当時、米軍のヘリコプター部隊には、極秘の特別作戦任務を遂行するための訓練を受けた者はいなく、特に暗闇の中を飛ぶことになれていなかった。

この失敗を機に米陸軍は直ちにヘリコプター部隊の中でも経験豊富な第101空挺師団からパイロットを選抜し、夜間飛行の集中訓練を開始した。
この暫定部隊は、パイロットの大半が第158航空大隊から分離されたブラックホークのパイロットであったことから、当初は 「タスクフォース158」 と呼ばれていた。新部隊はすぐに、陸軍の夜間戦闘航空部隊の第一級として認められ、1981年10月16日に正式に第160航空大隊に指定された。

参加した作戦

第160航空大隊は、1983年の米国によるグレナダ侵攻の 「Urgent Fury 」作戦で初任務に就き、暗視ゴーグルと赤外線装置駆使して夜間戦闘を行う初のヘリコプター部隊となった。それ以降、あらゆる主要な戦闘に参加することになる。1986年には第160航空団に再指定され、1990年には今の第160特殊作戦航空連隊ナイトストーカーズとなった。

モガディシュの戦闘

ナイトストーカーズを有名にしたのは1993年のソマリアでの「モガディシュの戦闘」だ。当時、内戦で疲弊し、飢えに苦しむ人々に食糧と援助を提供するという国連の任務を支援する人道的任務のために米軍がソマリアに派遣されていた。この時、米軍は内戦終結のために敵将の副官を捉えようとしたが、民兵の反撃に遭い、人道的任務は戦闘に変わった。

この様子は映画『ブラックホークダウン』でもよく知られている。デルタフォースのオペレーターとレンジャーのチームは、モハマド・ファラー・アイディッド一族の幹部を逮捕しようとしていた。この時、ナイトストーカーズの2機のブラックホークが上空から支援を行っていたが地上からRPGの攻撃を受け墜落。生き残ったパイロットを助けるためにデルタフォースのスナイパー”ランディー・シュガルト”と”ゲイリー・ゴードン”の2人が、数百人に及ぶソマリアの暴徒からをパイロットを守るために駆け付けたが2人とも戦死。パイロットは敵に捕らえられるも、その後解放され、亡くなったデルタ2人には名誉勲章が授与された。

テロ戦争

最近のテロ戦争の重要な作戦には必ずといっていいほどナイトストーカーズは参加している。2011年のオサマ・ビン・ラディンを殺害した「ネプチューン・スピア作戦」では、ステルス仕様に特別に改造されたブラックホークとチヌークでシールズのチーム6(DEVGRU)をアフガニスタンからパキスタンのアボタバードに運んだ。その際、ブラックホークの1機が施設に墜落、ステルスの秘密を守るためシールズによって爆破されたが、無事任務は完了し、全員が戻った。

また、2019年10月のISISの最高指導者バクダディ氏を殺害した作戦「Operation Kayla Mueller(オペレーション:ケーラ・ミュラー)」ではデルタフォースとレンジャーからなる70名の特殊部隊を8機のチヌークとブラックホークによって夜間飛行で目的地まで送り届け、全員を無事回収している。

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