フレンドリーファイアとは?今の軍隊はどうやって防いでいる?

フレンドリーファイアとは?今の軍隊はどうやって防いでいる?
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フレンドリーファイアFriendly FireFF)とは味方・友軍を誤射・攻撃してしまうことです。日本語でいうと「同士撃ち」といったところでしょうか。フレンドリーファイアは様々な状況で発生します。

・敵を狙って撃ったつもりが味方に当ててしまう。
・味方を敵と誤認して攻撃してしまう。
・味方の射線上に入ってしまって撃たれてしまう。
・十字砲火(クロスファイア)時の目測の誤り。
・長距離射撃時の目測や位置情報の伝達の誤りや不正確による誤射

敵を攻撃する意図のない偶発的な発砲(暴発)や、味方に対して故意に発砲する行為についてはフレンドリーファイアとは呼ばれません。 アメリカ軍の統計では死傷者の2~25%はフレンドリーファイアによるものだとされています。

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歴史

フレンドリーファイアとは?今の軍隊はどうやって防いでいる?

中世期頃までは味方の識別は主に旗や紋章、服や鎧の色や形状で識別していました。当時の戦いは白兵戦が主で味方を見誤ることは多くはありませんでした。しかし、銃と大砲が発展した近代戦争以降は、それまでの白兵戦とは違い交戦距離が大幅に延びて敵味方の識別が難しくなります。特に第一次大戦頃までの大砲による長距離射撃の精度は今ほど正確では無かったり、敵陣地に届かず、味方陣地に着弾するといったことがありました。また、夜戦も多くなり、暗闇の中での戦いは識別を更に難しくし、FFが増える結果になります。銃による有効射程の長さは敵味方の判断を早まらせる結果にもなり、誤射を増やしました。
第二次世界大戦になると艦船や航空機、車両が戦場での主役になります。この頃にはレーダーで敵味方を識別する方法がイギリスによって発明されますが、まだ多くが形や色での識別に頼っていました。どの軍の機体も似たり寄ったりで遠くからの識別は難しく、友軍によって撃ち落とされたり、空爆による誤爆が多くなります。兵器の精度や無線など技術は向上しましたが市街地戦や敵味方が入り乱れる複雑な戦場が増え、 FFが減ることはありませんでした。

フレンドリーファイアとは?今の軍隊はどうやって防いでいる?

誘導爆弾、レーダーの発展した現代においても、混乱した戦場においてはFFは無くならず、1991年の湾岸戦争では、米軍の戦闘機が英軍の装甲車をイラクのものと勘違いして攻撃し、九人の英国兵が死亡する事件が起きるなど、湾岸戦争でFFで亡くなった米軍兵士の多くは対戦車攻撃を受けた装甲車の乗組員でした。2002年には米軍の戦闘機が夜間射撃演習中のカナダ兵に爆弾を投下、2004年にはお互いの存在を知らされていなかった米軍特殊部隊同士が戦闘を行い死傷者を出して言います。
技術の発展に伴い戦争による死傷者については格段に減っていますが、内訳におけるFFの割合は減少していません。

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フレンドリーファイアをどうやって防ぐ?

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フレンドリーファイアを回避する最大の方法は日頃の訓練とミッションを開始する前に綿密かつ詳細に作戦を計画、友軍の行動を把握することです。そして、作戦行動時には無線や情報デバイスを用いてリアルタイムで戦況の把握に努めることです。FFの最大の原因は誤解であり、不明瞭な命令や戦場での動きに関する知識の欠如や情報の欠如になります。

IFF

IFFは(identification, friend or foe)の略になり、敵味方識別装置になります。味方が識別できる高度に暗号化された電波を発信し、味方であることを示します。主に航空機や艦艇など乗り物に搭載されます。

GPS

船舶、航空機、車両、兵士と大抵の部隊は現在の位置情報、移動経路を記録するGPS機能を持った装置を搭載または所持しています。部隊のGPSデータは全て中央司令部に集められ、友軍部隊の正確な現在地を知ることができます。

ナイトビジョン

ナイトビジョン
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歩兵の夜間作戦ではナイトビジョンゴーグル(NVG)を使用して、味方を識別します。 ほとんどの兵士の戦闘服とヘルメットカバーには、NVGの赤外線フラッシュバックを反射する赤外線タブ、またはビーコンライトが付いています。 赤外線フラッシュもビーコンライトも肉眼では見えず、NVGを通して見ることができません。つまり、赤外線タブ、ビーコンライトが見えれば味方であり、それが見えない人影は味方ではないという事です。これは車両にも採用されています。

しかし、兵器を人が扱う以上、ヒューマンエラーは避けられず、フレンドリーファイアを減らすことはできても無くすことは難しいでしょう。

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フレンドリーファイアの死亡は隠させる

敵との交戦で死亡した場合、その死は名誉ある死として扱われます。しかし、味方により攻撃で亡くなった場合、それは軍にとってあまり好ましくなく、亡くなった兵にとってもそれは名誉ではありません。亡くなった兵は上官が家族に当てて手紙を書くのが通例です。その際、兵が部隊の中でどのように振る舞い、慕われ、そして戦ったが記されます。そして、戦死に至った経緯もです。兵士が戦場で亡くなった場合、誰に殺されたかを判断するのが難しい場合があり、FFの可能性が高くとも亡くなった兵に関しては名誉のため、FFを隠して過少に報告したり、偽ったストーリーを家族に報告する場合があります。

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