輸送機を攻撃機化する弾薬パレット”Rapid Dragon”

輸送機を攻撃機化する弾薬パレット”Rapid Dragon”
Photo AFResearchLab

米空軍とロッキード・マーティン社が開発を進める「Rapid Dragon(ラピッド・ドラゴン)」は輸送機の空中投下プラットフォームから投下・発射可能な弾薬兵器システムになり、本来、攻撃機能を持たない輸送機を改良無しに攻撃能力を付与し、攻撃機化することができます。

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改造無しで攻撃能力を付与

ラピッド・ドラゴンは航空機を改造することなく、C-130やC-17などの既存の空輸プラットフォームにスマート兵器を搭載した空中投下可能なパレットを搭載して攻撃能力を与える新しいシステムになり、国防総省、空軍司令部、戦略的開発計画および実験局(SDPE)、空軍研究所(AFRL)の下、2019年12月にプログラムが発足、24カ月以内に動力飛行を達成することを目標としていました。2020年8月にAFRLは開発のためにロッキード・マーティン社と総額2500万ドルの契約を締結します。

ラピッド・ドラゴンの概要

C-130やC-17といった輸送機は攻撃のために設計されていないため、爆撃機や攻撃機のような爆弾倉(ウェポンベイ)、翼にハードポイントはありません。やろうと思えば後方ハッチから投下することは可能かと思いますが正確な爆撃は無理で、無差別爆撃になってしまいます。現代戦で新たに攻撃能力を得る上では精密攻撃能力は不可欠です。

ラピッド・ドラゴンでは長距離巡航ミサイルの「JASSM-ER(AGM-158)」を使用します。 JASSM-ERは射程1000kmを有し、スタンオフ攻撃が可能な精密誘導ミサイルになり、防空能力が乏しい、輸送機でも安全な領域から攻撃が可能です。

image AFResearchLab

とはいえ、輸送機にミサイルを搭載、射出するための機能はありませんし、そのまま後方ハッチから機外に放出するのは危険です。そこで考え出されたのが輸送機の空中投下プラットフォームに対応し、JASSM-ERを安全に機外に放出し、その後、展開させることができるパレットです。標準の空中投下手順を使用して投下し、パラシュート降下で安定すると、パレットが分解、 JASSM-ERは空中で解放されます。解放されたJASSM-ERは翼を展開、ジェットエンジンを点火すると、設定されたターゲットに向けて進みます。

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実験の成功

SDPEとAFRLは9月にC-17およびEC‑130輸送機に、弾頭やエンジンを搭載していないJASSM-ERを格納したラピッド・ドラゴンを積んで空中投下実験を行い、ラピッド・ドラゴンがミサイルを無事展開させることに成功します。 そして12月にはMC-130JコマンドーII特殊作戦輸送機に実際にエンジンを搭載したJASSM-ERを投下、ミサイルとの衝突を避けるために3つのダミーウェイトが順番に解放され、ミサイルは空中展開すると、巡航姿勢をとり軌道にのることを確認。更にMC-130Jの戦闘管理システムは、飛行中のミサイルに新しいターゲティングデータを送信、飛行中のミサイルに新しいデータが受信し、目標を変え、目標に衝突するのを確認し、ラピッド・ドラゴンが実用化レベルにあることを証明しました。 これは2020年8月にロッキード社が契約を締結してから1年4カ月しか経っていません。来年春には同様の実験をC-17で行います。

輸送機を改造無しに攻撃機に換装することができれば、従来の攻撃機と爆撃機はより戦略的な任務に従事することができると共に、空対地攻撃において圧倒的な物量を手に入れることができます。

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Source
https://afresearchlab.com/technology/rapid-dragon
https://news.lockheedmartin.com/rapid-dragon-demonstrates-palletized-munition-capability-in-first-C-17-and-EC-130-system-level-demonstrations

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