中国江蘇省南通市の長江で16日午後4時頃、解体中だった旧ソ連製の航空母艦ミンスクで火災が起きた。同艦はレジャー施設用途で中国に買い取られていたが、ラグーンに数年間に渡って放置されていた。
#BREAKING
— Khubaib Nizamani (@KhubaibNizamani) August 16, 2024
🔴 #CHINA :📹 MAJOR FIRE AT THE FORMER SOVIET AIRCRAFT CARRIER "MINSK" IN NANTONG#Minsk is seriously damaged by the fire at Suxitong Industrial Park where it was undergoing refurbishment. The ship was formerly a tourist attraction known as Minsk World.#Ukraine… pic.twitter.com/iWd87LKwW4
中国メディアによると火災は現地時間の16日午後4時ごろに発生。死傷者の情報はなく、火災原因は調査中だ。ラグーンに放置された航空母艦ミンスクは普段、電気や火の扱いは無いが、火災発生時は解体作業、または改修中と報道されており、それが原因と推測される。SNSには炎上する同艦の画像や映像が複数投稿されており、場所的に消火作業は難航。火災は収まったが、艦橋部分が焼け落ちているのが映像で確認されている。
Aircraft carrier island destroyed https://t.co/KIoLdu2nyN pic.twitter.com/48bpBC7kp1
— 笑脸男人 (@lfx160219) August 17, 2024
キエフ級航空母艦ミンスク
ミンスクはキエフ級航空母艦の二番艦として1972年にソ連で建造が始まり、1978年にソ連海軍に就役した。ソ連海軍では航空巡洋艦と定義されている。というのも全通甲板ではなく、艦首部分には対艦ミサイル発射管といった兵装を配置、飛行甲板は左側に角度を持たせて配置するアングルド・デッキ式を採用している。カタパルトやスキージャンプ式甲板などは採用しておらず、艦載機として搭載されたのはヘリコプターと垂直/短距離離着陸機(V/STOL)のYak-38艦上攻撃機になる。
冷戦の終了、1991年にソ連が崩壊すると運用コストが高い空母の維持費のねん出が難しくなり、1993年にミンスクは退役。他の姉妹艦含め、4隻あったキエフ級航空母艦は1995年までに全て退役する。ミンスクはスクラップ材料として1995年に韓国に売却されるが、韓国がアジア通貨危機に陥ったことで同艦は1997年に中国企業に売却。売却されたことでスクラップは免れ、広東省深圳でテーマパークとして公開された。しかし、その企業が倒産。別の企業に売却され営業が再開するも2016年には撤去され、長江のラグーンに係留、放置されていた。今回、解体、改修と両方が報道されており、スクラップにするのか、再度、テーマパークとして使用するつもりだったのかは不明だ。
一番艦のキエフは中国企業に売却され、その後、ホテルとして改築、今も天津で観光施設として運用されている。三番艦のヴォロシースクは1996年にスクラップ材料として韓国に売却。これはミンスクとは異なり、解体されている。1987年に就役した4番艦のバクーは1995年に退役。その後、インドに売却され。改修を経たのち、2014年に「ヴィクラマーディティヤ」という名でインド海軍に就役。改修では艦首の兵装が取り外され、スキージャンプ式甲板を採用、ロシア製のMiG-29K艦上戦闘機を搭載。現在も現役で運用されている。