西側、ウクライナに供与しているミサイルのロシア領内への攻撃承認か

西側、ウクライナに供与しているミサイルのロシア領内への攻撃承認か
mod ukraine

アメリカ、イギリス、フランスなどがウクライナ軍に供与している射程数百kmの巡航・弾道ミサイルをロシア領内への攻撃を全面的に容認する方向である事が分かった。これらのミサイルは射程が250kmを超え、ロシア領内奥深くの軍事拠点への攻撃が可能になる。

sponser

イギリスメディアのThe guardianの報道によれば、米国のブリンケン国務長官は、ウクライナがロシア領内の主要軍事目標に対して西側諸国から供給された長距離兵器を使用する制限を解除する方針をホワイトハウスが発表すると示唆した。この決定は既に非公式に内々では承認されたとみられている。

ブリンケン氏は、英国のデービッド・ラミー外相と共にウクライナの首都キーウを訪問し、両国はウクライナの戦場の状況の変化に応じて政策を適応させる用意があると述べ、西側が供与する長距離射程の兵器のロシア領内への攻撃を全面解禁する方針である事を示唆。今週にはイランがロシアに数百発の弾道ミサイルを供与した事が明らかになっており、「これが、米国と英国の戦略的思考を変えた。これは重大かつ危険なエスカレーションだ」とラミー外相は述べた。

外相はさらに、「エスカレーションさせているのはプーチンだ。プーチンはイランからのミサイル輸送でエスカレートさせた。ロシア、イラン、北朝鮮という新たな軸が生まれた」と付け加えた。英国政府筋は、同国がウクライナに供与する巡航ミサイル「StormShadow」をロシア国内の標的に使用することを許可する決定がすでになされたと示唆しているが、公式発表はワシントンでのイギリスのスターマー首相とバイデン大統領との会談時になると言われている。その際、アメリカも供与している弾道ミサイル「ATACMS」の許可を発表するかもしれない。

この2つのミサイルはこれまでウクライナ領内の標的にしか攻撃できないよう制限されていた。8月には、多少緩和され、国境近辺まで対象になっていたが、ウクライナ政府は制限を完全解除し、ロシア国内の標的に発射できるよう訴えていた。

sponser

StormShadow

イギリスがウクライナに巡航ミサイル「ストーム・シャドー」を提供!その性能は?使用に制約も
mod uk

StormShadow(ストーム・シャドウ)はフランスとイギリスによって開発され、多国籍企業で主にミサイル関連の兵器を開発するMBDAによって製造されている巡航ミサイル。フランスでは「SCALP(スカルプ)」と呼ばれている。空中発射型の長距離、ディープストライク兵器で、主に敵領内の奥にある指揮所、通信施設、空港、港湾施設といった高価値の固定された目標を攻撃するために開発された。航空機に搭載され、空中から発射されると、最大速度マッハ0.8(1000km/h)、250km以上の距離を飛行する。発射されたミサイルはレーダーを回避するため下降し、INS、GPS、予め設定された標的情報、及び地形に合わせて半自律的に低空を飛行。標的が近くなると上昇、搭載された高解像度の赤外線カメラによって最終目標を確認し、攻撃する。ミサイルは撃ちっぱなしの「ファイア & フォーゲット」で搭載機は発射後に直ぐに戦線から離脱できる。ただ、航空機は検知されやすく、しかも、ウクライナ空軍の機体で同ミサイルを運用できるのは数少ないSu-24M戦闘爆撃機に限られている。これまで主にクリミアの軍事拠点を攻撃するのに使用されており、クリミア半島の防空網を壊滅させ、黒海艦隊をロシア本土に追い返すなど華々しい戦果を上げている。

sponser

ATACMS

米下院外交委員会、ウクライナに射程300kmのATACMSを送る決議案を可決、バイデンも前向き
US army

ATACMSはアメリカの自走ロケットシステムのM270とHIMARSから発射可能な短距離弾道ミサイル。最大射程は300km、最大速度マッハ3(3700km/h)で飛行し、弾頭には最大1000個の子爆弾を搭載でき、いわゆるクラスター弾としても使用でき、広範囲に一定のダメージを与える。StormShadowと違い、地上発射型のため、検知されにくく、前線に近いところから発射でき、その射程を最大限活かせる。アメリカは当初、ロシア領内を攻撃可能な兵器は送らないとして、M270とHIMARSを供与してもATACMSは供与しなかったが、その後、規制を緩和し、射程短縮版の射程165kmのM39型を供与。今年に入り、射程300kmのM-39A1型の供与も承認。しかし、それでも使用はウクライナ領内に限られており、主にクリミア半島の軍事拠点の攻撃に使用されていた。

ロシアのプーチン大統領はこれら西側が提供するミサイルがロシア領内への攻撃に使用されれば、報復すると述べている。

sponser
sponser
西側、ウクライナに供与しているミサイルのロシア領内への攻撃承認か
フォローして最新情報をチェックしよう!