ノルウェーの漁師がトロール網で漁業中にアメリカ海軍原子力潜水艦を捕獲するという珍事が発生した。
ノルウェーメディアのNRKニュースによると、11日月曜、ハラルド・エンゲンと名乗る地元の漁師はオヒョウを釣り上げる為、トロール網を曳きながらマランゲン・フィヨルドに運んでいたところ、漁師仲間からエンゲンさんのトロール網が米海軍の潜水艦のスクリューに絡まったという異例のメッセージを受け取ったという。
網に引っかかったのは米海軍の原子力潜水艦USSバージニア。バージニア級原子力潜水艦の1番艦で全長は115m、排水量7800t。海洋生物としては最大とされる全長24mのシロナガスクジラよりも遥かに大きく、もんちろん網に引っかかって静止することはなく、網を2海里(3.7km)沖まで曳づったところで、網は遮断されたとされる。当時、USSバージニアはトロムソ港を出港したばかりで潜水していたが、海面すれすれを航行していた。潜水艦を護衛していたノルウェー沿岸警備隊のボートがスクリューに絡まった網を切り放したが、網は海底に沈み、もちろん、網にかかっていたオヒョウも海に消えた。
エンゲンさんはNRKに対し、「他の船が漁網の上を航行することは知っているが、潜水艦が巻き込まれるとは誰も予想していなかった」と述べ、怒ってはいないが、破損した漁網の補償について沿岸警備隊に連絡したと付け加えた。米海軍第6艦隊の広報は負傷者はおらず、海軍が正確な状況を調査中であると語った。秘匿性の高い潜水艦は正確な位置を通常は明らかにしない。ノルウェー沿岸警備隊と米海軍は、漁師に破壊された網の代金を補償すると示唆している。1999年にも同様の事件が起こり、イギリスの漁船の網がイギリス海軍の潜水艦に引っ掛かり、船が沈没して乗組員4人が死亡するという悲劇が起きている。