パスファインダー(Pathfinder)は空挺師団の中のある部隊、兵士の事を指す兵種の一つです。空挺部隊の眼として耳として、一番先に戦地に入り、後続部隊を誘導する役目を担うエリート部隊です。
役割
空挺部隊の役割は航空機やヘリを使って、前線、または敵領域に空中から侵入し、攻撃、拠点を奪取することです。時には前線を飛び越え、孤立する危険を冒し、敵領内に進攻します。常に最前線で戦う危険の伴う空挺部隊は精鋭が集まる部隊とされています。ただ、そんな精鋭の集まりであってもパラシュート降下(エアボーン)の最中は全くの無防備になります。弾が跳んで来ても身を隠すこと、反撃も難しく、降下中に攻撃されれば、ひとたまりもありません。パラシュート降下は時には数十数百機の航空機から数百人の大隊から数千人の旅団規模で降下が行われることもあり、降下地点に敵が待ちかまえていれば一気に壊滅しかねず、降下地点を間違えたり、タイミングがズレれば部隊は散り散りになって部隊能力を失いかねません。
そこで、確実、安全に部隊を目的地に降下させるために生まれたのがパスファインダーです。彼らは本隊の降下前に先行して少数で降下予定地点となる前線、または敵領内に潜入します。偵察を行い、安全な降下ポイントを選定、着陸地点を確保します。そして、航空管制を行い、本隊をそこへ誘導します。他にも航空支援拠点を作り、地上から航空機に攻撃指示を送ったりもします。彼らは本体が到達するまでは支援を受けず単独で行動します。そのため、補給や支援なしで作戦行動できる装備と能力を備えており、精鋭が集まる空挺歩兵の中でもさらにエリートとされ、特殊部隊ではありませんが、それに匹敵する能力があるとされます。
歴史
パスファインダーを最初に創設したのはイギリス軍で第二次世界大戦中の1942年にパラシュート連隊内に設立されました。最初の部隊は8~12人のパスファインダーと6人の護衛兵士からなる小隊規模で編成されます。
最初の任務は1943年のイタリアはシチリア島への降下作戦です。パスファインダー小隊の役目は本体降下30分前までに降下予定ポイントに到達し、降下エリアを正確に示すための目標の設置と、グライダー着陸のための着陸地点の確保、そして、障害物の排除と敵の干渉を防ぐことでした。「ハスキー作戦」と名付けられたシチリア上陸作戦で彼らは140機のグライダーと空挺部隊3000名の降下を支援して、勝利に貢献します。
その後、このパスファインダーの戦術は米軍にも取り入れられます。英軍から戦術指導を受けた米軍は陸軍にパスファインダー小隊を創設。さっそくノルマンディー上陸作戦に導入され、上陸作戦前夜に空挺部隊が内地に降下、海岸からの本隊の上陸を支援しました。バルジの戦いでは孤立する戦線の部隊にパスファインダーの誘導によって、補給物資を投下させます。
その後の朝鮮戦争でもパスファインダーは活躍。ベトナム戦争になるとパラシュートによる降下は無くなり、ヘリコプターによるヘリボーンが戦術の主流になりますが、着陸地点の検討や準備といった任務に代わりはなく、むしろ部隊規模としては大きくなります。
現在
現在は大規模な降下作戦が無くなり、部隊規模は縮小されていますが、英陸軍第16空中強襲旅団、米陸軍の82空挺師団、101空挺師団がパスファインダー小隊を所有。陸上自衛隊の空挺部隊である第一空挺団には団本部中隊配下にパスファインダーの役目を担う降下誘導小隊・偵察小隊が編成されています。
現在の主な任務は偵察、負傷者や孤立した隊員の回収、航空支援やヘリコプター攻撃の際に地上からの攻撃指示などを行っています。彼らは野砲や車両をヘリに吊り下げて戦地に降ろす”Sling Load operations(スリングロードオペレーション)”のプロでもあります。
[adcode]出典:第一空挺師団兵士が空から潜入、降下する方法には2つある。航空機からパラシュートで降下する「エアボーン」とヘリコプターからロープなどをつたって降下する「ヘリボーン」だ。エアボーンとはph[…]