2月3日、米軍特殊部隊がイスラム国の指導者アブイブラヒム・ハシミ・クラシ容疑者を襲撃。同容疑者は自爆して死亡した。この作戦時、第160特殊作戦航空部隊ナイトストーカーズ(SOAR)のMH-60Mブラックホークヘリ1機が損傷し、現地で爆破遺棄されたことが注目されている。
米軍はトルコ占領下のシリア北西部のイドリブでイスラム国最高指導者のアブイブラヒム・ハシミを殺害したと発表。特殊部隊が同地域に投入されたらしく、デルタかデブグルだろうか?pic.twitter.com/jq6a3CZD3d— ミリレポ (@[…]
MH-60Mは特殊仕様のブラックホーク
米陸軍や自衛隊など世界中の軍隊で使用されているブラックホークは通常タイプのUH-60になり、”U”はユーティリティーを意味する汎用ヘリだが、MH-60の”M”はマルチミッションを意味する特殊仕様になる。SOARでは専用にカスタマイズされたMH-60Aを1980年から使用を開始、その後、1988年に改良型のMH-60K、MH-60Lが登場、そして現在は2011年に登場した最新版のMH-60Mが運用されている。
MH-60M
MH-60 getting topped off while on a long-range ocean route. It may look simple, but it is not! Complete an application and Discover Special Operations Aviation at https://t.co/sXuvsh1mt3
— Go160thSOAR (@Go160thSoar) August 17, 2021
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MH-60ブラックホークは、UH-60機体をベースに、特殊作戦任務のために開発された高度に改良された双発ヘリコプターになる。大きな改良点として、空中給油機能があり、長い棒状の空中給油プローブが搭載され、作戦範囲距離が大幅に拡張されている。そして、高速ロープ挿入/抽出システム(FRIES)機能により、乗員は任意の戦闘地域に戦闘部隊を速やかに降下させ、油圧式のレスキューホイストは水上、複雑な地域からでも空中から隊員を回収する。
システム
Raytheon AN / AAQ-16前方監視赤外線(FLIR)、Texas Instruments AN / APQ-174地形追従/地形回避Kuバンドマルチモードレーダー(TF / TA MMR)、強力なMIL-STD-1553Bシリアルデータバス、およびデジタルマップ生成システムを搭載。これらの情報はすべて、4つの多機能ディスプレイ(MFD)と2つのコントロールディスプレイユニット(CDU)を利用する広範なIBM統合アビオニクスサブシステム(IAS)にとグラスコックピットに投影される。
最新版のMH-60Mでは機体の振動を低減するためにアクティブ振動制御システム(AVCS)を追加。ローター効率を改善するためにワイドコードメインローターブレードを再設計し、改良されたデュアルデジタル自動飛行制御システム(DDAFCS)、完全に結合された自動操縦装置、およびパイロットの作業負荷を軽減し、運用能力を向上させる夢のような統合コックピットを設置している。
敵からの攻撃に対しては赤外線抑制装置、フレア/チャフなどさまざまな防御システムを搭載。T700-GE-701C エンジンはUH-60よりも30%出力が向上、ローターの下の胴体の両側には230ガロンの外部燃料タンクも持っている。武装としてはドアの両側にはM134機関銃が搭載。機体はAC-130輸送機に搭載することができ、24時間以内に特定の地域に展開できる。
これらの高度なシステムにより、夜間や悪天候時といったどのような環境時でも作戦遂行を可能にしている。
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アパッチ攻撃ヘリより、高い攻撃力を持つMH-60DAP
Night Stalker involvement is critical and essential to selecting, developing, and fielding SOA unique technology. The MH-60 DAP is just one example of the 160th People, Equipment, and Mission combined effect. #160PEM #Go160thSOAR pic.twitter.com/DMfGGPibwo
— Go160thSOAR (@Go160thSoar) June 4, 2021
SOARにはAH(攻撃ヘリ)に分類されるヘリがなく、攻撃ヘリとしての役割はMH-60DAPが補っている。MH-60 Direct Action Penetrator(DAP)は攻撃兵器システムを搭載するためにMH-60を改良したモデルになる。その任務は、豊富な武器システムを使った攻撃作戦と、地上部隊の支援になる。MH-60DAPはアパッチ攻撃ヘリとの同等の兵装であるM230 30mmチェーンガン、AGM-114 ヘルファイア空対地ミサイル、スティンガーやサイドワインダーと短距離空対空ミサイル、ロケット弾に加え、ドアガンのM-134機関銃など、従来の攻撃ヘリより多い兵装を搭載できる。そして、アパッチにはない空中給油システムを搭載しており、活動範囲も広い。しかし、その分、武器による離陸重量の制限が高いため、DAPは通常、部隊や補給品の主要輸送手段としては使用されない、攻撃に特化した機体になる。
墜落が多いMH-60
他のブラックホークより優れた機体で、パイロットも優秀なはずのMH-60だが、何気に墜落する事象が多い。『ブラックホーク・ダウン 』で映画化された1993年のソマリアでの「モガディシュの戦い」で2機が撃墜された。同じく『ゼロ・ダーク・サーティ』で映画化されたビン・ラディン殺害作戦時にはステルス改修されたMH-60が墜落・爆破処理された。そして、今回のアブイブラヒム・ハシミ・クラシ容疑者殺害での墜落だ。ただし、これらは皆、敵から攻撃される危険性夜間での低空飛行など危険で難易度が高いミッションばかりであり、その分墜落、撃墜されるリスク高くなる。
Source
https://www.soc.mil/USASOAC/AirFrames.html
https://www.rotorandwing.com/2015/04/02/retiring-atired-war-horse/