現在、世界がこぞって開発を進める極超音速ミサイル。これは、極超音速にすることで迎撃を防ぐことを目的としている。この極超音速化は実は銃の弾薬でも開発が進められており、中国軍の研究者は弾丸が極超音速で人体に当たった場合どうなるのかを動物を使って実験を行った。
”サウスチャイナ・モーニング・ポスト”の25日の報道によると、重慶の陸軍医療センターの研究者が、極超音速弾が人間に与える影響の可能性を評価するため、鎮静状態の生きた若い豚に向けて5mmの鋼弾を高速で発射した。鋼弾の速度は最大秒速4,000m/s、時速で言うと14,400km/h。マッハ11に相当する。西側で広く使用されるライフル弾の5.56×45mm弾で初速が993m/s(3,574km/h)、マッハ3に相当するので、通常の弾丸の約4倍の速度だ。また、極超音速ミサイルといわれるのが、通常マッハ5(6,000km/h)以上と言われており、それよりも早い速度になる。そんな高速で飛ぶ、弾丸に当たるといったいどうなるのであろう。
ロシア軍は最新の極超音速ミサイル”3M22 Tsirkon(Zircon:ジルコン)”の量産を2022年から開始すると1日に発表しました。このミサイルはこれまで、爆撃機、地上、そして、昨年2020年10月には海上からの発射試験を成[…]
極超音速下では貫通しない
発射された極超音速の弾丸は豚の太ももに命中。太ももということもあってか、豚は死ななかったが、その高速の弾丸の衝撃波によって豚は太もも以外に腸、膀胱、肺、脳に損傷が見られ、その他、骨折や出血が広範囲に見られた。通常のライフル弾も高速の衝撃波によって、弾丸直径の40倍に損傷を与えるが、それよりも広い範囲に影響を及ぼすようだ。弾丸は1,000~3,000m/sの速度では太もも大腿部を貫通、しかし、4000m/sの速度の場合は貫通はしなかった。極超音速下では弾丸は融点に近い温度に達することがあり、ブタの皮膚に接触すると発火したように見える。これは、弾丸が豚に当たると、大きな力がかかり、熱で溶けて弾丸が崩壊したことを意味すると研究者は述べている。そのため、貫通はできないが、衝撃波によって着弾点には大きなクレーターのような傷口を残すことになる。豚は6時間後に安楽死された。
中国人民解放軍は公式には小口径の極超音速兵器の開発には着手していないことになっているが、小口径から極超音速の発射体を射出する武器の開発プロジェクトに資金を提供している。また、ロシアの銃器メーカー”ロバエフ アームズ”社は専用弾薬とライフルの組み合わせで、マッハ6の弾速を誇る超長距離狙撃銃の開発を行っている。ライフルの方は完成しており、専用弾薬を使用することで理論上、最大射程は7kmまで伸びるとされる。
Photo Lobaev Arms ロシアの銃器メーカーLobaev Arms(ロバエフ・アームズ)は、かねてから開発を発表していた世界最長の最大射程7kmを誇る「DXL-5 Havoc」が完成したことを8月に発表、11月には完成[…]
Source