米軍、ロシア、中国、自衛隊、各国の宇宙軍事情

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米軍、ロシア、自衛隊、各国の宇宙軍事情

米軍は2019年8月29日、特殊作戦軍、サイバー軍などに続く11番目の統合軍として新たに宇宙領域での任務を統括する「宇宙軍」を発足させた(12月に軍に格上げ)。主な任務は人工衛星の運用や宇宙空間での偵察・監視などになるが、近年、宇宙での開発、軍事活動を強化している中国やロシアに対抗する狙いがあるとみられている。大国の宇宙進出に伴い、その他諸外国においても宇宙空間での活動範囲の拡大、防御能力の必要性が強まっており、宇宙軍の創設の動きが出てきている。各国の宇宙軍事情についてみていきたい。

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アメリカ宇宙統合軍

米軍、ロシア、自衛隊、各国の宇宙軍事情

NASA(アメリカ航空宇宙局)、人類初の月面探査など世界の宇宙開発をリードしてきたアメリカ。宇宙空間にある軍事衛星の半分はアメリカが握っている。この度、宇宙統合軍の発足には至ったが、1985年にも実は統合軍として宇宙軍が設立していた。当時の統合軍は陸海空軍の宇宙関連の部隊・機材を統合運用を目的しており、隷下には空軍宇宙軍団 、海軍宇宙司令部 、陸軍宇宙司令部があった。しかし、2002年10月に統合軍の一つアメリカ戦略軍の中に統合されることになり、いわば格下げになった。今回は再度、宇宙軍統合軍と格上げされた形になり、より高度な専門部隊と再編され、指揮系統も簡略化される。2019年12月にはトランプ大統領が署名し、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に続く第6軍に格上げされた。初期の隊員は米空軍宇宙司令部から約16,000人が転属する予定になる。

ロシア航空宇宙軍

ロシア航空宇宙軍

世界で初めて有人飛行に成功し、アメリカと共に世界の宇宙開発をリードしてきたロシア。スペースシャトルが廃止された今、国際宇宙ステーションへの有人飛行が可能のはロシアのソユーズ宇宙船のみになる。そんなロシアは2001年にロシア連邦軍の独立兵科として大気圏を通過する弾道ミサイルの警戒、対ミサイル防衛、人工衛星の開発・運用を任務とするロシア宇宙軍を創設している。2015年には空軍と統合されロシア航空宇宙軍となり、独立兵科ではなくなっており、宇宙軍とはあるが主な機能は空軍としての能力になる。ロシアは現在、軍事衛星の機能に障害をもたらすことのできる軍用機の開発を行っていることを明らかにしている。また、アメリカはロシアが対人工衛星兵器を開発していると指摘している。これについてロシアは否定している。

https://www.bbc.com/japanese/45204426

中国人解放軍戦略支援部隊

中国人解放軍戦略支援部隊

2003年にロシア、アメリカに続く3番目の宇宙での有人飛行を成功した中国。今年1月には世界で初めて月の裏側に無人探査機の着陸を成功させている。2020年には恒久宇宙ステーションの建設、将来的に月面探査を目指している。中国の宇宙軍は中国人民解放軍ロケット軍という見立てもあるが、人民解放軍において宇宙任務を担当しているのは戦略支援部隊になる。主に人口衛星の打ち上げと運用により、解放軍の偵察、監視、指揮などの情報戦略のサポートを行っている。2007年には自国の衛星を撃墜する実験に成功している。レーザー照射や軌道上での衝突などにより、敵国の衛星を破壊する可能性もあるとアメリカの研究機関は示唆している。

http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2018-03/17/content_50711792.htm

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インド宇宙統合軍

インド宇宙統合軍はインド軍、民間宇宙局、インド宇宙研究機関の3つの組織によって2010年に創設された。宇宙空間における人工衛星などの資産の保護と、軍事目的の利用による監視、偵察といった情報収集、弾道ミサイルの迎撃を任務としている。今年1月には自国人工衛星をミサイルで破壊する実験を行い成功している。これはアメリカ、ロシア、中国に続き4か国目になる。インドとしては敵対する中国をけん制する狙いもあったと考えれている。

https://en.wikipedia.org/wiki/Integrated_Space_Cell

フランス宇宙軍

フランスのマクロン大統領は今年7月のフランス国防省での演説で宇宙軍司令部を創設することを発表しており、9月に創設される予定になる。将来的には空軍に統合することを計画している。フランスは宇宙分野での軍事力の展開についてヨーロッパを牽引したいと考えており、ドイツなど欧米諸国を含むNATO軍での創設も考えてるかもしれない。

航空宇宙自衛隊

日本の自衛隊はというと、防衛相は宇宙航空研究開発機構 (JAXA)とも協力して2020年度に宇宙領域を専門とした宇宙部隊「宇宙作戦隊」を航空自衛隊に新設する。令和2年度の予算の概算要求(524億円)にも盛り込まれている。これは、アメリカの宇宙統合軍の創設に伴い、宇宙空間においても日米同盟の連携強化を図る狙いがあり、当初は2022年度に予定していたが、アメリカの動きに合わせ前倒しした。宇宙部隊の主な任務は増えるスペースデブリ(宇宙ゴミ)と他国の衛星を監視する。部隊の規模は70~100人を予定しており、拠点は、東京都の航空自衛隊府中基地に置かれ、レーダーは、山口県の海上自衛隊山陽受信所跡地に建設する計画になっている。また、これに伴い、航空自衛隊の名称を令和5年までに「航空宇宙自衛隊」に改称することを検討している。

https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2018/html/n31206000.html

とうとう、宇宙にまで軍が進出、覇権を争う時代になってしまった。宇宙空間で各国が争うよりも、地球全体の脅威となりえる接近する隕石の破壊や地球外生命の侵略に備えて各国が協力して地球連邦軍・国連宇宙軍などを作って欲しいとこだが、アニメのようにはいかないだろうか。

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