ロシアの最新鋭防空ミサイルシステムであるS-400が飛来するATACMSの迎撃に失敗して破壊される映像が公開されました。
🚀ATACMS strikes on the Russian S-400 air defense system positions. Near Mospyne, Donetsk region. https://t.co/ttLTemP7Ci https://t.co/Q7XaQwnFUq pic.twitter.com/6T06QZBD8w
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) May 24, 2024
ウクライナ軍は5月22日水曜、ドネツク州モスピネの旧飛行場に配備されているロシア軍の防空ミサイルシステムS-400に向けて、弾道ミサイルのATACMSを発射。S-400のレーダーシステムはこれを検知したのか、3台ある発射装置から計6発の防空ミサイルを発射します。しかし、防空措置もむなしく、ATACMSが着弾。ATACMSの弾頭はクラスター弾になり、広範囲に子爆弾が飛散。その結果、2台の発射装置とレーダーシステム、火器管制指揮車が完全に破壊され、1台の発射装置が損傷しました。
S-400
S-400は1970年代に開発されたS-300の後継として1990年代に開発、2007年から配備が始まった防空ミサイルシステムです。現在、後継のS-500が開発されていますが、量産が進んでおらず、実質S-400がロシア軍が配備する最新鋭の長距離防空システムです。最大400km先、高度30kmの標的を撃墜でき、レーダーは600km先、最大100個のターゲットを検出します。長距離防空ミサイルシステムとしては最強と謳われ、航空機、巡航および弾道ミサイル、更に迎撃が難しいとされる極超音速兵器も迎撃できるとされ、地上標的にも有効です。しかし、このS-400でもATACMSを防ぐことはできませんでした。
ATACMS
ATACMSはアメリカの自走ロケットシステムのM270とHIMARSから発射可能な弾道ミサイルです。ウクライナには当初、射程165kmのM39型が供与されいましたが、射程300kmのM-39A1型も最近、供与されました。ATACMSは最大速度マッハ3(3700km/h)で飛行。弾頭には最大1000個の子爆弾が搭載、いわゆるクラスター弾になり、広範囲に一定のダメージを与えます。
今回の攻撃にウクライナ軍が何発のATACMSを発射したのかは不明です。もちろん一発ということは無いと思い、複数発、デコイもあったと推測されます。おそらく、S-400も何発かは撃墜に成功しているものと思われます。3つの発射装置があり、一つの発射装置には最大4発、つまり、S-400は最大12個の目標を同時に迎撃できましたが、失敗しました。
ウクライナ軍は5月18日から19日にかけて、前線から240kmほど離れたロシア占領下のクリミアのセバストポリ港をATACMSで攻撃し、黒海艦隊の掃海艇コブロベツを撃沈しています。この時は2発のATACMSを発射、命中させています。クラスター弾では船を損傷できても、沈めることはできないので、214kgの単一弾頭を搭載した威力の高い射程270kmのM48型、もしくは射程300kmのM57型とされています。