ロシア軍第155独立親衛海兵旅団の窮状を訴える公開書簡がロシアで話題に、国防省はすぐさま否定

ロシア軍第155独立親衛海兵旅団の窮状を訴える公開書簡がロシアで話題に、国防省はすぐさま否定

11月6日、親ロシア派の軍事ブロガーがロシア海軍太平洋艦隊に所属する155独立親衛海兵旅団から送られてきたという無署名の公開書簡をテレグラムで公開して話題になっている。書簡は部隊の窮状を訴えるもので、軍の無謀な命令で損害を受けたことに不満を訴えるものになっている。

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ウクライナとロシアの国境に近く、東部ドネツク州に駐留する第155独立親衛海兵旅団はウクライナ軍が攻勢を強める中、将軍の命令によりルハーンシク市の南に位置するパブロフカの町のウクライナ軍に攻撃すべく進軍。しかし、部隊は4日間の戦闘で死傷者、行方不明を含め300名の兵を失い、装備の50%を失う壊滅的な打撃をうける。この窮状を訴えるべく部隊のメンバーは太平洋艦隊の母港(ウラジオストク)がある極東地域プリモリエ州の知事であるオレグ・コジェミヤコ氏に書簡を送った。書簡では以下のように述べている。

再び我々はムラドフ将軍と同胞のアフメドフによって説明のつかない攻撃に放り込まれた。 ヴァレリー・ ゲラシモフ参謀長の前でボーナスを稼ぐためである。ムラドフはアフメドフに 「ロシアの英雄」 賞を約束した。その結果、我々とカムチャツカ海兵隊はパヴリフカに進撃している。我々の 「偉大な指揮官」 によって”慎重に”計画された攻撃の結果、装備の50%に加えて、4日間で約300人の死傷者と行方不明者を失った。それは私たちの旅団だけだ。
ムラードフやアフメドフのような凡庸な人間が、多くの命を犠牲にして戦果や表彰のために軍事作戦を計画するのをやめるのはいつだろうか。彼らは見せびらかすこと以外何も気にしていない。彼らは我々を肉と呼ぶ。

これらの内容は失態続きの正規軍に対して否定的な意見を述べるロシアの民間軍事会社ワグネル系のSNSでも公開され、数十万人のロシア人が目にしたとされる。

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ロシア国防省はすぐさま否定

しかし、数時間後にオレグ・コジェミヤコ知事、ロシア国防省はこれを否定。「私たちは司令官に連絡しました。確かに損失があり、激しい戦闘がありましたが、損害はこの控訴に書かれているものからはほど遠いです」と激しい戦闘があり、部隊が損害を被ったことは認めたものの、書簡に書かれている内容を否定した。それどころか「指揮官の有能な行動により、部隊はウクライナ軍を押し返し10日間で5km前進、部隊の損失は戦闘力の1%を超えておらず、7%が負傷したが、大部分がすでに戦線に復帰している」とまで述べている。書簡の内容の信ぴょう性を確認するため、コジェミヤコ知事は、さらなる調査のために軍事検察庁に資料を送ったと述べたが、答えは同じであろう。

155独立親衛海兵旅団は1944年に創設されたエリート部隊。ウクライナへの侵攻が始まってからこれまで、マリウポリ、キーウ、ブチャという要衝の激戦地を渡り歩き、マリウポリの制圧に貢献。プーチンから「親衛隊」の称号を得ている。しかし、その代償として1600人いた隊員の半数以上を失ったとされている。そのため、最近、拠点を置く、太平洋沿岸の沿海地方とカムチャツカ地方から動員兵が補充されていた。

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