イギリスの軍需企業BAEシステムズは、垂直発射ミサイルシステム(VLS)を持たない艦船に同様の能力を与える次世代進化型シースパローミサイル発射システム(NGELS)を設計開発する契約を米国防総省から3,700万ドルで獲得した。同社は、NATOシースパロープログラムオフィス (NSPO) を支援して、米海軍とその同盟国を支援するための発展型シースパロー ミサイル(ESSM) を搭載する甲板発射システムのプロトタイプを開発し、提供する。
軍用艦の最近のトレンドはステルス化だ。レーダー反射面積を少なくするため、船体の突起物は少なく、なめらかな流線形になっている。甲板にもなるべく余計なものは設置せず、あるのは船首の速射砲1門ぐらい。ミサイルなどは艦船内に収納する垂直発射ミサイルシステム(VLS)にするなど火力はなるべく艦内に収めるのがトレンドだ。また、VLSは発射管自体が独立しており、1基が機械的に故障しても他に影響出にくいのと、装填とメンテナンスが容易。更に標的に標準を向ける必要もなく発射までの時間が非常に短いというメリットがある。
しかし、全ての艦がVLSを実装できるわけではない。長い発射管を船体に垂直に搭載するには、ある程度の船体の大きさと深さを必要とし、甲板には排炎や耐熱性の性能も必要になる。この課題を解決するのが次世代進化型シースパローミサイル発射システム(NGELS)になる。
NGELSはBAEシステムズのAdaptable Deck Launcher (ADL) コンセプトを活用したデッキマウント型の固定角度発射装置だ。VLSのような垂直発射ではないが、発射管を斜め、上に排炎することでVLSが搭載できない艦にも同等の能力を付与する。ミサイルはBAEシステムズが生産しているMk25 RIM-7ミサイルキャニスターからESSMを格納して発射する。大型甲板プラットフォームへの統合が容易なNGELSは、最新かつ最も高性能なESSMミサイルの改良型ブロック2を搭載する。ブロック2は、空及び地上の脅威から艦艇を護ることができる多機能地対空・地対地ミサイルである。NGELSはミサイルの脅威に打ち勝つために、実績のあるMk41垂直発射システムサブシステムを使用して、地対空および地対地防衛能力をVLSが搭載できない艦に提供する。Mk41 VLSではMk25キャニスターを使用した場合1セルあたり4発を搭載できる。
Source
BAE Systems awarded Next Generation Launcher design contract | BAE Systems