空中空母ボーイング747AAC

空母型航空機ボーイング747AAC
Photo by boeing-747.com

空母には航空機を離発着されるための長い飛行甲板や、発進させるためのカタパルトが必要です。垂直離着陸できる機体もありますが、少なからず発進には飛行看板が必要ですし、着陸するにも広いスペースが必要です。1922年に就役した世界初の空母「鳳翔(ほうしょう)」から100年、空母は長い甲板をもつ洋上に浮かぶ船舶いう形状に大きな変化はありません。だが、かつて、空飛ぶ飛行型空母が本気で検討されたことがあります。

sponser

世界最大の旅客機ボーイング747を空母化

飛行型空母の検討が始まったのが1970年代はじめ。当時、世界最大の旅客機で「ジャンボジェット」というな名で日本でも運航されていたボーイング747を空母に使用することを目的にボーイング社内で研究、調査が始まりました。本研究は、オハイオ州のライト・パターソン空軍基地にある米国空軍飛行力学研究所(米国空軍FDL)との契約に基づいて実施されました。

空母型航空機ボーイング747AAC
Photo by boeing-747.com

ボーイングから出されたのは、747に「マイクロファイター」と呼ばれる小型の戦闘機10機を搭載する”Airborne Aircraft Carrier (AAC)“「飛行型空母 」と呼ばれるコンセプト。機内のコンベヤーベルトシステムを使用して機首の下部に80秒ごとに2機の戦闘機を配備し、15分で全機を射出します。任務を終えた戦闘機は機体中腹からでるウインチによって回収されます。
筆者は頭の中でアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』で描かれるコスモファルコンの発着艦をイメージに近いのかと思っています。

747AACは機体を発射して回収することができるだけでなく、飛行中の機体に燃料を補給したり、回収時に次の出撃のための燃料や武器を搭載したりすることもできるように設計されました。マイクロファイター1機につき3回の出撃を可能にするのに十分な資材を搭載することができます。戦闘機が補給、再装備される間、パイロットは休憩し、自分の部屋で寝ることさえできました。

sponser

空母型航空機の利点

航空機の最大の利点はスピードと作戦範囲です。米海軍の最新空母ジュラルド・フォードの最高速度30ノット(56km/h)、船舶型空母では目的地までに数日かかります。それに対し747の最高速度は988km/hと圧倒的に速く、大抵の目標には一両日以内で到達、これにより作戦地域に素早く移動し、危機に対応できます。船舶型空母が洋上でしか展開できないの対し、航空機であれば、どこへでも展開可能です。冷戦時、敵対したソ連は広大な面積を持ち、洋上から発進する戦闘機では内陸奥深くまで行くことは到底不可能でした。長距離航行可能な戦略爆撃は目標まで行けますが、護衛機なしで標的まで向かう事になります。747AACはこれらの課題を全て解決します。

実現はされなかった

だが、結局、747AACのプロジェクトは構想で終わってしまいます。空は海と比べてリスクがデカく、わずかな事故やトラブルが致命的になりかねず、空母の事故は搭載する機体までも全て失うことになります。そして、最も大きな課題が「マイクロファイター」です。747AACに収めるためには新たに小型戦闘機を開発せねばなりません。実は戦闘機は第二次大戦から比べると実はどんどん大型化しており、小型化というのは非常に難易度が高く、その上、時は冷戦時、小型化した上でソ連の戦闘機に勝る能力も求められます。これには空母以上にお金と時間がかかります。洋上の空母でも十分な作戦展開能力があり、緊急度が高くなかったこともあり、747AACプロジェクトは頓挫してしまいます。

sponser

http://www.boeing-747.com/special_boeing_747s/boeing-747-aac.html

sponser
空母型航空機ボーイング747AAC
フォローして最新情報をチェックしよう!