6月17日、中国海軍の3隻目の航空母艦となる003型「福建」(CV-18)が2度の遅れ、当初の予定から1年遅れで、上海にある中国造船株式会社の江南造船所で進水、命名式が行われました。福建はアメリカ海軍のニミッツ級、ジェラルド・R・フォード級に匹敵する空母と言われています。
電磁式カタパルトを備えた新型空母
003型「福建」は「遼寧(001 CV-16)」「山東(002 CV-17)」に続く、中国海軍3隻目の航空母艦になります。しかし、これまでの2隻と福建の建造は意味合いが大きくことなります。
遼寧は旧ソビエト海軍が1985年に起工した空母Varyag(ヴァリャーグ)のスクラップをウクライナから購入して、それを近代化改修した空母になり、山東はそれをコピーして建造した空母と基礎設計は非常に古い空母で、問題も多く、米海軍の空母と比較すると非常に見劣りする空母でした。
Type 003 (CV 18) ‘Fujian’ will have a displacement of over 80000T. It will feature EMALS, three catapults and two large aircraft lifts. The air wing will be formed with fifth generation fighter jets along with advanced fourth generation one and AEW&CS. pic.twitter.com/MuSK4lBvcy
— Vinod (@VinodDX9) June 17, 2022
その点、福建は近代的であり、姿・形は米海軍のニミッツ級、ジェラルド・R・フォード級に似ています。そして、福建の最大の特徴が「電磁式カタパルトシステム(EMALS)」を搭載している点です。これは米海軍でも新型のジェラルド・R・フォード級にしか搭載されていない最新技術です。福建はこのカタパルト式の発艦方式を搭載したことで前の2隻と比べ空母の運用能力を大幅に向上させます。
遼寧と山東の発艦方式はスキージャンプ式になります。この方式の場合、機体重量の制限が多く、発艦する機体は多くの燃料、重い装備を搭載しての発艦が無理なため、戦闘機の兵装、作戦能力は限られます。その点、電磁式カタパルトの場合、発艦効率はスキージャンプ式よりも高く、ニミッツ級が使用する蒸気カタパルトと比べ、発射速度も速いため、発艦する戦闘機はより多くの燃料とミサイルが搭載できます。さらに早期警戒管制機、対潜哨戒機、輸送機といった大型機の発艦も可能にします。特に早期警戒管制機、対潜哨戒機は、空母打撃群の運用にあたり、大きな役割を果たします。カタパルトは映像を見る限り3つ用意されています。ただ、多くの電力を必要とするため、電力確保が問題になります。福建は原子力空母という情報はありません。
福建の排水量は米国のキティホーク級と同程度満載排水量80,000トンを超えるとされ、艦載機の搭載数は前の2隻よりも若干増え、40機ほどと予想されています。福建には現在開発中の艦載機仕様の第5世代ステルス戦闘機J-35の搭載が予測されています。今後、テスト、試験航行などを経て、実際に就役するのは2025年以降になると思われます。中国海軍は2035年までに少なくとも6隻の空母打撃群を備えた外洋海軍を建設することを目標にしています。