ドローンの先駆け!CIAの鳥型ドローン「Aquiline」

ドローンの先駆け!CIAの鳥型ドローン「Aquiline」
Photo CIA

CIAはご存じのとおり、世界最強の諜報機関になる。そして、諜報を任務において重要な役割を担うのは今も昔も航空情報収集プラットフォームだ。航空機は黎明期から米国の国家安全保障における偵察、監視任務において重要な役割を果たしてきた。現在ではその役割を無人機、ドローンが担っているが、CIAは1960年代から「Aquilineプログラム」の名の下、無人偵察機の研究、開発を開始。そのコンセプトは現在の無人機のベースとなっている。

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U-2ドラゴンレディの後継として開発

U-2ドラゴンレディ
U-2(Photo by Staff Sgt. Robert Trujillo)

CIAは1950年代に高高度偵察機のU-2ドラゴンレディを開発。1960年代にはOXCARTプログラムのもと、A-12偵察機を開発、就役させていた。この2機の偵察機は成功したものの、1960年5月にソ連領内を偵察していたU-2が対空ミサイルによって撃墜される。パイロットのフランシス・ゲーリー・パワーズは脱出するものの、ソ連の捕虜となる(2年後に捕虜交換で釈放されている)。この事件をきっかけにCIAは撃墜に伴うパイロットの損失といった重大なリスクや影響を考慮するようになり、CIAは人的被害のない航空情報収集プラットフォームとして、現代で主流になっている無人航空機 (UAV) 、いわゆる偵察ドローンの開発コンセプトを当時、いち早く導き出した。1960年にAquilineというコードネームで始まった同プログラムは当初、鳥の飛行特性に基づいた偵察ドローンを開発しようとした。ドローンの翼幅は3mで、光学・赤外線カメラ、無線機器、レーダー、いくつかのペイロード機能を有していた。AquilineはU-2同様、敵領内深くに侵入し、写真撮影などの機能を通じて、敵拠点の情報を取得する長距離無人偵察機を想定して開発された。動力は長距離飛行に耐えるため、原子力を予定していた。

ドローンの先駆け!CIAの鳥型ドローン「Aquiline」
Photo CIA

敵に発見されるリスクに関しては、機体は一般的な航空機と比べ、非常に小さく、その上、鳥のように低くゆっくりと飛行、レーダー検知面積が小さいので探知されにくい。仮に目視で検知されても、鳥の外観をした機体は鳥に見間違われ発見されにくいと想定された。

少なくとも4つのドローンが原子力無しで飛行実験を行っている。しかし、価格の高騰、当時の技術では難易度が高く、Aquilineは実用化されることはなかった。だが、この研究は今日の多機能UAVの先駆けとして非常に価値のあるものとなっている。

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Source
https://www.cia.gov/readingroom/collection/aquiline

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