アメリカ海軍は、厳しい予算と現在および近い将来に起こりうる作戦に予算を投下することを理由に次世代攻撃型潜水艦SSN(X)の建造開始を10年近く延期する。
ディフェンスニュースの報道によれば、海軍報道官はバージニア級攻撃型原子力潜水艦の後継となるSSN(X)計画の主導艦の建造は現状、”2040年代初頭”に開始される予定であると語った。アメリカ海軍は2014年に初めてSSN(X)計画について公に発表。当初の計画では今年2024年までに必要な機能の分析を完了し、早ければ2031年、遅くとも2034年までに建造を開始し、2042年の就役予定していた。しかし、
海軍は昨年、建造を2035年に開始する計画を発表、そして、今回、それが更に2040年に延期される見通しであることを公表した。就役は2050年代になる可能性が高い。
海軍はSSN(X)の開発予算に2022年度の予算要求で一般開発に2,980万ドル、原子力推進開発に6,810万ドルの計9,800万ドルを計上。2023年度は一般開発に1億4,390万ドル、原子力推進に9,310万ドルを含む2億3,700万ドルを計上。2024年度に関しては、総額5億4,470万ドルという大幅な増額を要求、これは前年比130%増となっている。一般開発には3億6,160万ドル (前年比151%増)、原子力推進にはさらに1億8,310 万ドル(97%増) を要求した。2025年度は更なる同額が見込まれたが、3月11日に発表された2025年度の予算請求ではSSN(X)を初めとして、次世代駆逐艦DDG(X)、次世代戦闘機F/A-XXといった次世代兵器開発の予算を制限している。次世代戦闘機F/A-XXについては、2024年度に15億ドルの開発予算を要求したが、2025年度は3分の1に削減された。 次世代護衛艦 DDG(X) は1億8,740万ドルから、1億270万ドルに削減されている。SSN(X)自体は2024年の5億4,470万ドルから5億8,690万ドルに上がってはいるが微増だ。SSN(X)の建造費は今のところ56億ドルから72億ドルと見込まれている。これら次世代兵器はどれも当初の予定より計画は遅れている。
中東情勢、および中国により海洋進出、特に2020年代に台湾侵攻が起きるのでは懸念されるなか、今後10年間で戦力化が不透明な次期兵器に限られた予算を投資するよりも、既存兵器の生産と、無人艦の開発に予算を投下すべきとの考えがあると推測されている。