エストニア国防省(国防省)が2020年7月7日に発表した情報によるとエストニアはウクライナの要請を受けてソビエト連邦時代のマカロフ自動拳銃(マカロフPM)2400丁をウクライナ軍に送った。これらのマカロフPMはエストニア国防軍 が製造したものだ。
防衛省によると、2,400丁のマカロフPMは7月7日にウクライナに輸送された。これはウクライナの防衛能力を高めることを目的としている。ウクライナは現在クリミア半島を巡って東部で反政府勢力の新ロシア派(ロシア軍も含む)と紛争が続いている。エストニアは過去にソ連(ロシア)に占領された過去があり、現在もロシアとの国境付近で領有問題を抱えている反ロシア派だ。そのような背景もあり、ロシアによるクリミア半島の併合に関しては反対しており、ウクライナの主権と領土の回復を支援する立場をとっている。防衛省のプレスリリースによると、「ロシアによるクリミア及びウクライナ東部への侵略継続は容認できず、欧州全体の安全保障に広範な影響を及ぼす。この銃で私たちは6年間にも及び戦争をしてきた同盟国を支援します」」という声明を出している。輸送費の7,000ユーロはエストニアが負担している。
マカロフPMとは
マカロフPMは戦後のソ連軍の標準拳銃でソ連時代の1950年代に開発された既に半世紀以上が過ぎた銃だ。ソ連の銃らしくスチール製のフレームにシンプルな設計で信頼性は高い。コンパクトな設計は将校やKGBスパイにも愛用された。拳銃としては標準の9㎜口径ではあるのだが、今の主流の9×19㎜パラベラム弾ではなく、9×18㎜マカロフ弾が採用されている。ロシア連邦軍では9×19㎜を採用し、既に退役している。今回、エストニアが2400丁を提供したのも、エストニア軍がNATO標準口径の9×19㎜を採用したという理由もある。専用の9×18㎜マカロフ弾を使用しなければならない点は兵站の観点で考えると運用しずらい銃ではある。マガジン装弾数も8発と現在の拳銃と比較すると火力は心許ない。反政府側にはロシアから最新の武器が提供されているとされ、ウクライナ東部の戦いでは武器の性能差によって劣勢になっているとも伝えられている。
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しかし、ウクライナは慢性的な資金不足で武器も不足していると伝えられており、旧世代のマカロフPMでも欲しいぐらい窮地なのかもしれない。
https://news.err.ee/1109974/estonia-sends-2-400-makarov-pistols-to-ukraine