NATO加盟国であるトルコはロシアからS-400防空ミサイルシステムを購入、配備を行ったため、第5世代戦闘機F-35の共同開発プロジェクトから外され、同機の購入ができなくなってしまいました。そこで、トルコは国産のステルス戦闘機「TF-X」の開発を急ピッチで進めています。
トルコは2019年にロシア製の最新地対空防衛ミサイルシステムS-400を購入、配備を行いました。トルコは北大西洋条約機構NATOの加盟国であり、ロシアはNATOの仮想敵国でした(現在は敵に認定)。アメリカから再三購入をやめるよう忠告されながら、それを無視し、ロシア製の武器を購入配備したことでアメリカのトランプ大統領はトルコに制裁を行い、トルコが当初から参加していた、第5世代戦闘機のF-35共同開発プロジェクトから締め出します。トルコは100機のF-35の購入を予定しており、開発のために既に14億ドルを投資、トルコ向けの機体も既に製造されていました。最新のステルス機であるF-35の購入が難しくなったトルコですが、実は国産の次世代戦闘機であるTF-Xの開発も進めており、F-35が購入できなくなったことで、開発を急いでいます。
TF-Xとは
TF-Xは、トルコ語で”MİLLİ MUHARİP UÇAK(MMU)と呼ばれるこの機体は、トルコ空軍の主力戦闘機であるF-16に代わる戦闘機としてトルコ航空宇宙産業(TAI)によって開発されている国産次世代戦闘機です。当初は第4.5世代戦闘機とされていましたが、ステルス設計、アクティブフェーズドアレイ (AESA)、スーパークルーズ、その他の高度な機能を備えた第5世代ステルス戦闘機になります。プロジェクト自体は2011年に発足、2018年に正式に開発が始まっており、F-35の調達の有無関係なく、次期戦闘機と開発が始まります。
計画を3年も前倒し
Şehitlerimizin aziz hatırasına! 🇹🇷
— Ismail Demir (@IsmailDemirSSB) March 17, 2023
Milli Muharip Uçak’ımızı 18 Mart’ta hangardan çıkaracağız demiştik.
Uçağımız bugün pistin başında!
Cumhurbaşkanımız Sn. @RTErdogan’ın liderliğinde inşallah gök vatanımızda süzülmesine de şahit olacağız.@TUSAS_TR pic.twitter.com/cWz3q8APTl
TF-Xは当初2026年の初飛行、2030~33年の間での就役を目指していました。しかし、F-35戦闘機の共同開発から締め出せれると、その開発スピードを加速させます。既にバッチ0のプロトタイプは完成、今年3月には滑走路上でのタシキングテストを実施、成功させます。そして、初飛行も当初の計画より3年も早い今年年末を予定しています。就役も2029年を予定、10機をトルコ空軍に納入する計画です。
トルコは現在、外国のサプライヤーに依存しない兵器生産体制の構築を目指しており、兵器の国産化を進めています。しかし、アメリカはこのままだとトルコが西側から離れることを懸念。繋ぎとめておくためにもバイデン大統領はトルコへのF-16の最新モデルF-16V block70の売却と既存のトルコ空軍のF-16のアップグレードを容認しています。あとは議会の承認を待つだけです。ただ、エルドアン大統領の独裁、人権に関する問題もあり、反対する議員も多く、一筋縄にはいきません。
Source
Turkish TF-X stealth fighter performs taxiing tests on the runway