ハッカー集団Prana Network(プラナ・ネットワーク)はロシアとイランの武器取引データをハッキングし、その内容を明らかにした。
The Prana Network breached email servers of #SaharaThunder
— Crescent_of_Anon (@CrescentOfAnon) February 5, 2024
Documents prove the mullah regime and russian oligarchs are working together.
find all the data https://t.co/aqkVw1B2gZ
Anonymous will not allow these scum to continue there dirty work#opiran #oprussia #IRGCterrorists pic.twitter.com/zepYfbn1QA
ウクライナの軍事メディアMiritarnyiによれば、プラナはイランの軍事組織「イスラム革命防衛隊(IRGC)」のフロント企業とされる”IRGC サハラ サンダー”社の電子メールサーバーへの侵入に成功したことを発表した。ハッキングしたデータの中には、ロシアのアラブガ経済特別区におけるイラン製の軍用無人機の現地生産に関する内容が記されていた。これらのドローンはイランからロシアに提供されている自爆ドローン「Shahed-136」とされているが、文書の中で不可解な名称「ドルフィン 632型モーターボート」と記されていた。ロシア軍内ではShahed-136は”ゲラン2”とも呼ばれている。
データによればロシアは2022年から2年半以内に6,000機のイラン製無人機(Shahed-136)をライセンス契約に基づいて自国内で生産する計画を立てていた。つまり月産200機ほどだ。イラン側は1機あたりの初期価格を2300万ルーブル(約37.5万ドル)でロシアに提示した。しかし、交渉の過程で、6,000機注文の場合は1機あたり1,200万ルーブル(約19.3万ドル)、2,000機の場合は1,800万ルーブル(約29万ドル)という水準で合意に達した。6000機の場合、技術、関連機器、ソフトウェアの移転を含む生産契約の総額は1,085億ルーブル(約17.5億ドル)に上る。2023年の計画によれば、イラン製部品の供給を最小限に抑えて、完全な現地生産化を実現した場合、Shahed-136の1機あたりの推定コストは440万ルーブル(4.8万ドル)になる予定だ。ハッキングしたデータによれば、ロシアはこの取引を「金」で支払っており、2,067,795gの金インゴットをサハラ・サンダーに支払っている。今のルーブルよりも金は遥かに安定性が高いので、イラン側が要望したのかもしれない。
Shahed-136の1機辺り価格は当初2万ドル~と言われていたので、ハッキングしたデータが正しいのであれば、想定より高額になり、単体で注文した場合は弾道ミサイルとさほど変わらない価格になる。Shahed-136はイラン製ということもあり、スペック情報が少なく、この金額が妥当なのかはわからない。ただ、ロシアが完全な現地生産化を可能にすれば5万ドル前後で生産できるので、ミサイルを製造するよりは遥かにコストメリットが高い兵器にはなる。
Shahed-136
Today Odessa was again attacked by Shahed-136 kamikaze drones, which Russia got from Iran. Ukrainian army mastered to successfully land Russian aircraft, and these drones will follow. For that Ukraine needs more Western modern air defense systems. Drone launcher video below. pic.twitter.com/jZvYupj2IR
— Maria Avdeeva (@maria_avdv) September 25, 2022
全長3.5m、重量200kgで、弾頭重量40kgと自爆ドローンとしては大型の機体。デルタ翼を採用した翼と胴体一体型の設計で、翼より先の機首は弾頭と誘導に必要な機器が納められている。2枚羽のプロペラ翼で飛行するが、離陸時は専用のランチャーとロケットアシストにて加速させる必要がある。最高速度は185km、航続距離は定かではないが最大2000~2500km、少なくとも1000kmとされており、ロシア領内からキーウ、クリミアからオデーサを狙うには十分な航続距離を有している。飛行高度は60~4,000m。エンジンは民生品で中国製のMado MD550を搭載。騒音が激しいため、数キロ先から接近が分かる。一般的なドローン同様、GPSなどの座標をもとに自律飛行が可能。遠隔操作の性能は不明だが、イラン製の場合、おそらく衛星通信は搭載していないので、数百km先のドローンを操作することは不可能と思われる。しかし、ロシア製となれば衛星通信に対応したバージョンが開発される可能性はある。GPSに関しては既にロシアの衛星測システムGLONASSに対応した飛行制御システムが搭載されている。