インドはロシアに代わりSu-30戦闘機を生産し、海外輸出を計画している

インドはロシアに代わりSu-30戦闘機を生産し、海外輸出を計画している
Indian Air Force

インドがロシアからライセンス許諾を得て国内生産していたSu-30MKI戦闘機の海外輸出をロシアと協議中であることが分かった。ウクライナとの戦争中で武器の海外輸出がままならないロシアに代わり、実績あるSu-30の生産を担い、世界の武器市場に躍り出ようとするインドの野心が見える

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ファイナンシャル・エクスプレスの報道によると、インドの国営企業であるヒンドゥスタン航空機(HAL)は、ライセンス生産していたSu-30MKI戦闘機の製造と海外輸出を計画しており、ライセンスを持つロシア側と協議している。既にロシアから予備承認を得たとも報じており、インド国防省関係者は、両国間の戦略的パートナーシップを強化するために、ロシア側がインドにSu-30を製造・販売させることに同意したことを確認したと報じた。

今年6月、再選を果たし、3期目に突入したインドのナレンドラ・モディ首相は7月8日から9日にかけて、ロシアがウクライナを侵攻して以降、初めてロシアを公式訪問し、プーチン大統領と首脳会談を行った。会談の結果、両国首脳による共同声明が発表され、両国間の経済分野を含めた協力関係を強化していくことで一致。共同製造と技術移転を奨励するという両国間の広範な協力にも合意しており、インドが進める「Make in india」計画に基づき、ロシア製防衛装備品の保守と生産のための合弁事業の促進に取り組んでいる。この取り組みは、インド軍のニーズを満たし、友好国である第三国への輸出を促進することを目的としており、インドの防衛輸出戦略における重要な節目となる。その目玉となるのがSu-30戦闘機だ。

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Su-30MKI

Su-30SM2
Su-30

インドは2000年代からMig-21に代わる戦闘機として、ロシア製のSu-30 MKIフランカーを調達している。Su-30 MKIはロシアのSu-30のインド空軍仕様機だ。Su-30自体は1980年代に開発され、1997年にロシア空軍で運用が始まった複座型の第4世代多用途戦闘機になる。インドは1996年に調達を決め、計272機を発注。50機はロシアで生産され、残りの222機はライセンスと技術供与を受け、インド国内で生産されることなった。初期の国内生産の機体はロシアから出来上がった部品を組み立てるノックダウン方式が主だったが、最後はライセンス生産に移行、2021年までに全機納入されている。インドは国産のHAL Tejas、フランスのラファール、ミラージュ2000、イギリスのSEPECAT ジャギュアと様々な戦闘機を所有しているが、Su-30MKIは機体別では最多の数になる主力戦闘機だ。

ただ、メンテナンスコストが高い事を理由に2018年にこれ以上調達しない事を決定。しかし、事故等などで機体を失った事もあり、2020年にライセンス生産ではなく、ロシア側に12機を追加発注している。

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納品が遅延

しかし、追加発注した分の機体はウクライナ侵攻の影響で納入が遅れており、未だ納期が不透明だ。前述したように、追加発注しないことを決めた事で既に国内でのライセンス生産は行っておらず、HALの国内工場で行われているのはメンテナンスおよび修理のみになる。とはいえ、最近までライセンス生産していた事もあり、生産は可能だ。ロシアが生産できないなら、自分たちで作ればよいと考えたのかもしれない。しかし、12機のために生産ラインを再稼働させるのはコストに見合わない。そこで、海外輸出もロシアから取り付けたのであろう。ロシア側としてもウクライナで手一杯で海外輸出する余裕はないし、納入が遅延している後ろめたさもあり、インドが生産し、海外輸出するこも許容したのであろう。

世界で15各国以上が運用

Su-30は世界で15か国600機以上が運用されており、未だに需要がある機体だ。インドはこれらの国への販売を狙っている。また、インドの防衛研究開発機構(DRDO)は自国のSu-30MKIの多くのロシア製システムを国内製に置き換える自国の改修計画に着手している。このプロジェクトは、新しいレーダー、ミッションコントロールシステム、アビオニクス、先進兵器システムの統合を通じてSu-30の戦闘能力を強化する。これらSu-30の近代化も海外から受注する事を目指している。HALの国内工場は年間20機のSu-30MKIのオーバーホール能力を持っており、これまで100機のSu-30MKIをオーバーホールしている。

ロシアはウクライナ侵攻以降、戦時体制という事もあり、海外武器輸出が大幅に減っている。ロシアから武器を購入していた国はスペアパーツやメンテナンスに不安を抱える事態になっている。インドも武器の半数近くをロシア製が占めていたが、ロシア依存を減らしている。そして、これをチャンスにロシアから技術供与を受け、国内の兵器生産能力を高め自分たちカバーし、かつ、海外の顧客も取り囲み、海外武器市場に踊りでようとしている。インドはロシアのT-90戦車やAK-203ライフルなども国内でライセンス生産している。

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