イスラエルがイランに報復、終わらない報復の連鎖

イスラエルがイランに報復、終わらない報復の連鎖

イスラエル国防軍は10月26日、イランに対し、報復攻撃を行った事を公式発表した。この攻撃はイランが10月1日に行ったミサイル攻撃に対しての報復になる。しかし、1日のミサイルもイランによる報復攻撃になり、イランはこの攻撃で手打ち、報復の応酬は終了としていたが、今回、イスラエルが報復を行った事で報復の連鎖が続く事が懸念されている。

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イスラエル軍は26日、ミサイル工場などイランの軍事拠点への空爆を実施したと発表した。イランメディアもテヘラン近郊で複数の爆発が起き、兵士2名が死亡した事を報じている。イスラエル軍は今回の攻撃について声明を発表。「イラン政権によるイスラエル国家に対する数ヶ月に及ぶ継続的な攻撃に対応して、現在、イスラエル国防軍はイランの軍事目標に精密攻撃を行っている。イラン政権とその周辺勢力は、10月7日以降、イラン領内からの直接攻撃を含め7つの前線でイスラエルを執拗に攻撃している。世界の他の主権国家と同様に、イスラエル国には対応する権利と義務がある。我々はイスラエル国家とイスラエル国民を守るために必要なことは何でもするつもりだ」と述べたが、アメリカから自制するよう釘をさされていたというのもあってか核施設やエネルギーインフラは標的にしなかった。

今回の攻撃はイランが今月10月1日に行った攻撃の報復とされている。イランはイスラエルに対し180発以上の弾道ミサイルによる大規模攻撃を実施。短時間による飽和攻撃ということもあり、イスラエル軍はこれを防ぎきる事が出来ず、空軍基地が被害を受けた。この攻撃に対する報復と言う事であれば、今回のイスラエルの攻撃は一理あるわけだが、1日のイランの攻撃も報復であり、イランはこれで報復は完了、手打ちとしていた。そこに、イスラエルが報復した事で、報復合戦が懸念されている。

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ことの始まりは4月

もともとの原因は昨年10月7日にイランが支援するハマスがイスラエルを奇襲したのが始まりだが、両国間の報復の応酬が始まったのはイスラエルが今年4月1日にシリア・ダマスカスにある在シリア・イラン大使館の領事部を空爆したことから。この攻撃により、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の将官7人が死亡。死者の中にはIRGCの精鋭「コッズ部隊」の上級司令官モハマド・レザ・ザヘディ准将と、その副官のモハマド・ハディ・ハジ=ラヒミ准将が含まれていた。海外にある大使館を空爆して殺害するという前代未聞の攻撃にイランは報復を示唆。そして、同月13日、イランはイスラエルに向けて無人機や巡航ミサイルなど300発以上を発射する報復攻撃を実施した。迎撃にはアメリカ軍も参加し、ほとんどが迎撃され、イスラエル側の被害は軽微だった。しかし、イランによる直接攻撃を受けたイスラエルは対抗して同月19日、イランに向けて報復となる直接攻撃を実施。テヘラン近郊の軍事拠点など7カ所を攻撃した。イランはこの攻撃に対する明確な報復行為は行わず、両国間の戦闘は一旦落ち着いた見られた。

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しかし、7月31日、パレスチナのイスラム組織ハマスの最高幹部ハニヤ氏が、イラン新大統領宣誓式のため首都テヘランに滞在中、イスラエルに暗殺される。イランが支援するハマスの最高指導者、そして、海外賓客として招待した要人を国内で暗殺されるという屈辱を受けたイランはイスラエルに対する報復を示唆。さらに同じくイランが支援するレバノンのヒズボラの最高幹部がイスラエルによって次々と殺害された事も拍車をかけ、イランはとうとう10月1日に報復に踏みきり、180発のミサイルを発射した。規模だけ見れば4月の300発よりも少ないが、迎撃が難しい、弾道ミサイルを発射し、4月の攻撃よりも打撃を与える事に成功した。そして、今回26日のイスラエルの攻撃はこの時の報復になる。イスラエルは同日、攻撃完了を宣言している。今回の攻撃によるイランの被害は兵士2名の死亡が報じられているが、懸念されるのが、報復だ。イランは前回の攻撃で手打ちし、もし、イスラエルが報復するなら、それに応えると述べていた。両国間の報復の応酬は今後も続くのだろうか。

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