半世紀ぶり!米空軍にエースパイロットが誕生か

半世紀ぶり!米空軍にエースパイロットが誕生か
USAF

アメリカ空軍の戦闘機パイロットは4月、多数のイランの無人機を撃墜した。この戦果により、米空軍に半世紀ぶりに「エース」の称号を持つパイロットが誕生した可能性がある。

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2024年4月13日、イランはイスラエルに対し、大規模な報復攻撃を実施。イスラエル側の発表によれば、無人機170機と巡航ミサイル30発、弾道ミサイル110発がイスラエルに向けて発射された。イスラエル側は9割を撃墜したと発表したが、これらの撃墜にはヨルダン、そしてアメリカ軍も加わっていた。アメリカは迎撃に空軍第494戦闘飛行隊と第335戦闘飛行隊のF-15E戦闘機を出動させ、イスラエルに到達する前に80機以上の無人機を撃墜したと発表している。この結果、少なくとも1人のパイロットが「エース・パイロット」の称号を得る事ができる撃墜数を達成したと言われている。アメリカ軍では空対空戦闘で敵機を5機撃墜した者に「エース」の称号を与えている。

何機のF-15Eが出発して、兵器は何を使用して無人機を撃墜したのかは明らかにされていない。第335飛行隊には24機のF-15Eが配備されているのが明らかになっている。第494飛行隊の配備数は明らかにされていないが、第335飛行隊と同等数の数が配備されていると推測できる。予備機や全機が戦闘レベルで待機しているわけではないので全機出撃ということはないと思われ、出撃したのは多くて30機前後かもしれない。F-15Eの武装には20mmバルカン砲の他、最大8発の空対空ミサイルを搭載でき、1機あたり5機以上の無人機を撃墜する事は可能だ。長距離飛行可能なイランの無人機は慣性誘導かGPS誘導で、フレアといったデコイも搭載していないので、ミサイルであればほぼ確実に迎撃できる。

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無人機は撃墜数にカウントされるのか

前述したように米軍では空対空戦闘で敵機を5機撃墜した者に「エース」の称号を与えている。この「エース」の称号を持つパイロットはベトナム戦争で1972年10月に5機目の撃墜を達成した空軍のジェフリー・ファインスタイン大尉を最後に誕生していない。ベトナム戦争では米海兵隊から一人、海軍から一人、空軍から二人の計4人の「エース」が誕生しているが、大規模な空中戦を経験したのはベトナム戦争が最後で、湾岸戦争やイラク戦争では米軍が制空権を確保していたし、アフガニスタンでは相手が空軍すら持っていなく、戦闘機パイロットの主な役目は対地攻撃になり、空中戦を行う事はほぼ無かった。

ただ、ここ数年で安価なドローン・無人機が普及。正規軍ではない武装勢力でも航空戦力を持つ事が可能になった事で、無人機の排除のために戦闘機が出動、撃墜するケースが増えている。しかし、そこで疑問になるのが、ドローン・無人機の撃墜が戦闘機パイロットの撃墜数にカウントされるのかという事である。

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パイロットの「エース」という概念は戦場に飛行機が登場した第一次世界大戦下の1915年に誕生し、その後、世界中の軍隊に広がっていった。この時に無人機というものは勿論ないので、撃墜した機体が有人か無人という線引きはもちろんない。第二次世界大戦中、英空軍はドイツのV-1ロケットの撃墜をパイロットの撃墜数にカウントしており、それに照らし合わせれば、無人機もカウントされるし、ミサイルもカウントされる事になる。今回のイランのミサイル攻撃ではイスラエル空軍のF-35IやF-15Iがミサイルを迎撃している。ベトナム戦争時も実は無人機は戦場に投入されており、北ベトナム軍は米軍のAQM-34 Firebee無人偵察機の撃墜をカウントしてパイロットに「エース」の称号を与えていた。しかし、ベトナム戦争時の空軍のもう一人のエースであるスティーヴン・リッチー大尉は「無人機は撃墜数にカウント」しないと述べている。

実は2024年2月にアメリカ海兵隊のアール・エアハルト5世大尉がAV-8BハリアーII攻撃機でイエメンの反政府武装式フーシ派の自爆ドローン「Shahed-136」7機を撃墜したと報告されており、「エース」の称号を得る資格の戦果を残している。そして、アメリカ空軍は実は2017年に空対空戦闘の基準を改定「空軍は、飛行中の敵航空機 (有人であるか否か、武装しているか否かを問わない) を破壊した空軍パイロットまたは乗組員に、空中勝利クレジットを授与することができる。」と記しており、それに照らし合わせればアール・エアハルト5世大尉は「エース・パイロット」という事になる、話は戻って4月のイランの無人機を5機以上撃墜したパイロットがいるのであれば、米空軍に半世紀ぶりの「エース・パイロット」が誕生したと言う事になる。戦場での無人機はこれから更に増えてくると思われ、無人機も撃墜数にカウントされるのであれば、今後、複数のエース・パイロットが誕生するかもしれない。

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