イスラエルのPolarisSolutionsは、イスラエル国防省と協力して、兵士用の最新カモフラージュシステムである「Kit300(キット300)」を開発しました。この新しいキットを装着した兵士はサーマルイメージャーに映し出されなくなり、兵士を見えなくします。
マルチスペクトル迷彩
「Kit300」カモフラージュシートは金属、ポリマー、マイクロファイバーで構成される熱視覚隠蔽(TVC)素材で作られた軽量なシートで肉眼、そして熱検知、サーマルイメージャーからの検出を困難にします。赤外線サーマルイメージャーは物体から放射、反射する熱・赤外線を検知。その温度差異から画像・映像を作成するのでスモークや視界不良時でも視認することができます。しかし、Kit300は熱・赤外線を遮蔽するため、サーマルイメージャーから検知されない、いわゆる「マルチスペクトル・カモフラージュ」というものになります。シートには通常のカモフラージュも施されており、肉眼、暗視装置からも見えづらく、どの検出器からも身を隠します。
通常キットの重さは500gで一般的なシート同様に折り畳めます。シートはリバーシブルでどちらの面でも使え、それぞれ異なる迷彩柄がプリントされているので地形の特徴に合わせて迷彩柄を選択します。シートは立体的に形状化でき、岩に見せることも容易です。地形にあったカモフラージュを施せば肉眼での遠目からの検知は難しくなり、その上、車両やドローンの赤外線カメラでも検知できなくなります。待ち伏せや偵察、監視、狙撃任務などに最適です。防水性があるので雨天時レインコート、テントとしても活用できます。このシートは兵士だけでなく、複数枚を結合させることで車両などにも使用できます。
イスラエル軍(IDF)によってテストが進んでり、評価は良好で、雨や高温といった極端な気象条件でカモフラージュ能力は証明されています。IDFは今後の調達計画を既に表明しています。マルチスペクトル迷彩はアメリカも開発しており、Kit300の今後の評価次第では米軍の採用もあるかもしれません。
イスラエルと敵対するパレスチナのハマス、レバノンのヒズボラは近年、急速に装備を近代化しており、ナイトビジョンやサーマルイメージャーはもう特別な装備ではありません。夜間作戦において、IDFの優位性は失われており、昔のように特殊部隊が敵陣深く侵入して、奇襲攻撃というのは難しくなっています。この「kit300」はIDFに新たな優位性をもたらすカモフラージュシステムになり、その名前は紀元前480年、ギリシア時代の最強の戦士スパルタの300人からきています。
https://polarisolutions.com/2021/01/16/the-new-camouflage-for-idf-regiments/
https://www.ynet.co.il/news/article/rknOq00KCP