強力な殺傷能力を持つ「クレイモア地雷」。映画や戦争ゲームで度々目にするこの兵器を知っている人は多いだろう。だが、そんなクレイモア地雷に非致死性版があったのをご存じだろうか。それが「M5 Modular Crowd Control Munition(MCCM)」だ。
M18 クレイモア地雷とは
まず、クレイモア地雷について説明しよう。正式名”M18 Claymore”とは米軍が使用する指向性の対人地雷だ。湾曲した四角い箱の中には外側に700個の鉄球、内側にC-4爆弾が内蔵されている。これを草むら、路上など目立たない場所に配置して、敵が近づいたらリモコンによる遠隔操作で起爆する。ワイヤートラップ、赤外線感知で起爆する方法もある。起爆すると箱の中の無数の鉄球が爆風によって高速で放射状に放出され、鉄球と爆発によって距離50m、60度の範囲にいる人を殺傷するという強力な対人兵器だ。現在は国際条約の対人地雷全面禁止条約で使用には制限があり、リモート以外での使用することはできないことになっている。
人を殺さないクレイモア
クレイモアと全く同じ見た目のM5 MCCMだが、M18のような殺傷能力を持たない非致死性兵器になる。”Crowd Control Munition”を日本語に訳せば「群衆制御弾」となり、敵対的な群衆・大人数のグループを追い払い、無力化することを目的にしている。そのため、M5の箱の中には鉄球ではなく600個の32口径ゴム弾と、その後ろには威力が弱いシート爆薬(推進剤)が入っている。それ以外はクレイモアと同様の仕組みで、遠隔操作で起爆、中のゴム弾が放出され、群衆に打撃を与える。有効範囲は5~15m、60度の範囲の人間に打撃を与え、混乱させる。5m以下では致命的な怪我を負わせる危険性があり、ある程度、距離を保って使用する必要がある。M5は攻撃的な非戦闘員に対する最初の防衛線で非致死性の力を行使する際のオプションであり、米陸軍、海兵隊に装備されている。クレイモアと間違って使わないように、見た目で分かるように箱の表は明るいライトグリーン、触ってわかるように箱の上部に隆起した突起物が付いている。
イラクでは群衆対策としてM-113装甲兵員輸送車の側面にM5が取り付けされていた。
Source
https://www.pica.army.mil/pmccs/CombatMunitions/NonLethalAmmo/M5-Modular.html