周辺国が新しい戦闘機を採用する中、マレーシアは中古のF/A-18ホーネットを購入へ

周辺国が新しい戦闘機を採用する中、マレーシアは中古のF/A-18ホーネットを購入へ
USAF

クウェートとマレーシア両政府はクウェートが保有する中古のF/A‐18ホーネット多用途戦闘機の販売条件に関する交渉を開始することに合意した。これにより、マレーシアの同機の取得が確実視されている。

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マレーメールの報道によれば、マレーシアのダトゥク・スリ・モハメド・ハレド・ノルディン国防相は、10月7日月曜日にクウェートの国防省を訪れファハド・ユセフ・サウド・サバーハ副首相兼国防相兼内務相を表敬訪問した。その際、二国間の関係強化、防衛協力の覚書に署名する事に合意した報じている。また、これを受け、マレーシアが望んでいた、クウェートが保有する中古のF/A‐18ホーネット多用途戦闘機の購入について、承認した事を意味すると報じられている。

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マレーシア空軍が狙う中古のF/A-18ホーネット

マレーシア空軍は現在、1997年に取得した8機のF/A-18Dホーネットを運用しているが、この数を倍にしたいと考えている。近年、各国でホーネットの退役が進んでおり、2021年には米海兵隊のF/A-18C、オーストラリア空軍のF/A-18A/Bが全機退役、フィンランド空軍も古くなったホーネットに代わる機体としてF-35を64機を注文しており、退役が決定している。現在、中古市場にはたくさんのホーネットが出回っているわけだが、マレーシアが購入を検討しているのは中東のクウェートの機体だ。

クウェート空軍は1991年の湾岸戦争後に40機のF/A-18ホーネットを取得していたが、老朽化に伴い、2016年にF/A-18の最新機種であるF/A-18E/Fスーパーホーネット40機を取得する契約を米国と締結。2021年には初回注文分の28機が納入されている。この他、2015年には28機のユーロファイタータイフーンも発注しており、これも半数が納入されており、ホーネットの退役が進んでいた。

他にも退役した機体がある中、なぜ、マレーシアがクウェートの機体を狙っているのかというと、クウェート空軍のホーネットは他国の退役した機体と比べ稼働時間が短いためで耐久寿命が長いからだ。マレーシアはクウェートが持つ33機すべてを購入したい旨を前から公表しており、クウェートに打診したと報じられていた。しかし、最初、クウェートはこれを否定していた。その後、根回しや周辺国の同意を得たのか、販売に前向きと報じられている。ただ、両国間だけの同意だけでは販売する事は出来ず、最終承認は生産元のアメリカの同意を得る必要がある。差し当たって、承認しない理由はないとされている。

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周辺国は戦闘機を新調

マレーシア空軍の現在の主力戦闘機は8機のF/A-18ホーネットと2007年から配備が始まったロシア製の18機のSu-30MKMになる。戦闘機の戦力強化ならSu-30を増やすという選択肢もあったはずなのだが、2018年にエンジンの問題とスペアパーツの入手が不可能のため、18機のうち14機を飛行停止にしている。更にロシアは戦争中で他国向けの兵器を生産する余裕もない。事実上、運用可能な戦闘機はホーネットしかないため、同機の数を増やす事を選択したものと思われる。しかし、各国で退役が進んでいるように1970年代に開発されたホーネットは古く、2000年には生産停止。後継のスーパーホーネットが登場している事もあり、同じ時期に開発されながら、現在も生産されているF-16やF-15のようにバージョンアップは実施されていない。

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マレーシアの隣国では戦闘機の更新が進んでいる。シンガポールは古くなったF-16に代わり20機のF-35Aを調達し、既に納入が始まっている。タイはF-16の後継にスウェーデンのJAS-39グリペンの最新バージョンであるE/Fの調達を先日決定したばかり。インドネシアはF‐16の後継にフランスのラファール 42機を発注。アメリカのF-15EX 24機の調達も決定している。タイとインドネシアは第5世代ではないが、第4世代戦闘機としては最新鋭の機体になる。ASEANのGDPランキングではインドネシアが1位、2位がタイ、3位がシンガポールになり、その後、フィリピン、ベトナムと続き、6位がマレーシアになるが世界では36位でデンマークよりも上、国力や最近の安全保障を考えれば、中古のホーネットよりも新品で高性能の機体も買えると思うのだが、何か事情があるのだろうか。

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