6月だけで700台以上の米軍車両がタリバンの手に渡りました

6月だけで700台以上の米軍車両がタリバンの手に渡りました

7月に入り、米軍の撤退が佳境に入る中、米軍がアフガニスタン軍に譲渡、または現地に残してきた車両700台以上がタリバンに渡ったと中東やアフリカ、北朝鮮などの軍事情勢を分析するOryxブログが発表しました。

発表によると、タリバンは6月だけでアフガニスタン治安部隊からハンヴィーや輸送トラックなど延べ715台を鹵獲、65台を破壊したと報じています。この中には装甲車両やMRAPも含まれています。タリバンはこれらの車輛を鹵獲すると、これ見よがしにプロパガンダとしてソーシャルネットワーク上に投稿しており、Oryxブログではこれらの情報をもとに調査、分析しました。

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もっとも多いのはハンヴィー

ハンヴィー
ハンヴィー(Photo by Capt. Katherine Milberry

捕獲された車輛の中で一番多いのが高機動車両のHMMWV(ハンヴィー)になります。米軍は20年間のアフガニスタン紛争において延べ25,000台ものハンヴィーを投入。だが、ハンヴィーはアフガン紛争、イラク戦争においてIED(即席仕掛け爆弾)に対する脆弱性を露呈、多くの人的被害を出します。この20年の間に米軍ではIED、地雷に強いJLTV、MRAPがハンヴィーの後継と導入された関係もあり、不要になった大量のハンヴィーがアフガニスタン軍に譲渡されていました。タリバンに鹵獲されたのはM-1151、M-1152の2つのモデルを合わせて300台以上に上ります。

フォード・レンジャー
フォード・レンジャー(Photo by Spc. Austin Berner

ハンヴィーの次に多いのはフォードのレンジャーで270台になります。レンジャーはミッドサイズピックアップトラックの商用車で、米軍ではそれを装甲カスタマイズして軍用車として使用していました。

そして次に多いのがナビスター・インターナショナルの軍用トラック7000シリーズです。約140台が鹵獲されています。同じトラックタイプでは8台のフォード・カード、5台のM915A3があります。その他、バギーなどを含む全地形車両のATVが20台、ショベルカーやブルドーザーなども鹵獲されています。

MRAPや装甲車も含まれる

MRAP
MRAP(Photo by Sgt. Kimberly Trumbull

鹵獲された車輛の中で最新と思われるのがM1224・マックスプロと呼ばれる4輪駆動の対地雷/伏撃防護装甲車で、通称MRAPと呼ばれています。2007年に配備が始まった車両でIED、地雷に強く、米軍内でもバリバリ現役の車体です。鹵獲されたのは、まだ1台だけのようですが、アフガン軍に計何台配備されているのかは不明で、これが多数、タリバンに渡るようであれば、アフガン軍にとっては大きな痛手になります。

M1117
M1117

さらに装甲車のM1117が18輌、装甲兵員輸送車のM113が3輌鹵獲されています。M1117はハンヴィーと並ぶ主力車両になり、ハンヴィーよりIED、地雷に耐性があります。M113はベトナム戦争時から使われており、最大11名の兵士を運ぶことができます。MRAPやM1117と比べるとIEDと地雷に対して脆いです。

迫撃砲や榴弾砲も

タリバンに鹵獲されたアフガン軍の装備は軽車両だけではありません。戦車や砲兵システムといった重火器も含まれます。これらは米軍の置き土産ではなく、もともとアフガン軍にあった思われるもので、T-55、T-62のソ連製戦車が各1輌、同じくソ連製のD-30 122mm榴弾砲が17門、ZU-23 23mmm対空機関砲の2門などが含まれています。

米国防省は5月に今後数ヶ月で数千台の車両、武器、その他の軍事アイテムがタリバン、テロリストの手に渡る危険性があると述べていました。この不安はどうやら的中しそうです。

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Source
http://spioenkopjp.blogspot.com/
https://www.militarytimes.com/news/pentagon-congress/2021/05/20/taliban-may-grab-us-military-equipment-as-american-troops-leave-afghanistan/

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