自爆艇だけじゃない!対空、多連装と増えるウクライナ軍の無人艇

自爆艇だけじゃない!対空、多連装と増えるウクライナ軍の無人艇
SBU

黒海でロシア海軍黒海艦隊の船を次々と沈めているウクライナ軍の自爆無人艇。無人艇による戦術を確立しつつあるウクライナ軍はここ最近、無人艇に自爆用の爆薬だけではなく、他の武装をも搭載するなど攻撃の幅を増やしている。

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Magura V5

GRU

ウクライナ軍が現在、自爆無人艇として主に使用しているのが「Magura V5」という船だ。全長5.5m、重量1000kgとトラックに載せて地上輸送も可能。巡航速度は41km/hで、最高速度は時速78km/hと高速で水上を移動する。航続距離は800kmでウクライナ西にあるオデッサからクリミア半島全域は勿論、ソチを含むロシアの黒海沿岸部全域を航行範囲に納めている。稼働時間は最大60時間で400km以内で遠隔操作が可能。慣性誘導、GPSによる自律誘導も可能だ。船には昼夜カメラが搭載されており監視、偵察、哨戒、捜索救助、機雷対策、海上警備といった任務を海上でこなすが、主な任務が300kgの爆薬を積んで敵の船に突っ込む特攻だ。小回りが利き、移動する船も捉える事ができる。今年に入ってから大型揚陸艦シーザー・クニコフなど、少なくとも3隻の船を沈めている。これらの戦果はウクライナ国防省情報総局(GRU)傘下の特殊部隊「グループ13」によってもたらされている。

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対空装備を搭載したMagura V5

今年に入りMagura V5による戦果が増えているが、もちろん、ロシア軍も手をこまねいて見ているだけではない。自爆無人艇に対しては低速飛行、ホバリング可能なヘリが有効とし、黒海上空にヘリを飛ばして監視、無人艇を発見次第、空からの機銃掃射で迎撃している。これに対し、ウクライナ軍も無人艇に対空ミサイルを搭載して対抗する様子が確認されている。5月6日、ロシア軍が公開した映像では、Magura V5にR-73対空ミサイルを積んだ簡易的なランチャーが搭載されているのが確認されている。R-73は航空機搭載用に開発された短距離空対空ミサイルで射程は最大30km。本来、航空機に搭載されるミサイルだが、ウクライナが対ヘリ対策としてMaguraに搭載したものと思われる。映像では2つの発射レールが確認できるので2発のミサイルが搭載できるものと思われる。片方のレールは空いていたので一発は発射済みと考えられる。しかし、映像の無人艇は対空ミサイルを装備しながら、ロシア軍のヘリを撃墜することはできず、攻撃を受けて沈んでいる。R-73の最短射程は300m以上なので、ある程度距離をとらないと狙うことはできない。まだ、運用は試行錯誤の段階かもしれない。ミサイルの重量は一発あたり100kgで2発搭載、更にランチャーも含めると300kg近い重量になり、爆薬は積めないので、完全な対空任務用のバージョンと推察できる。

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Sea Baby(シーベイビー)

ウクライナ軍が使用するもう一つの無人艇がシーベイビーだ。MAGURA V5は海上を移動する艦船を主に攻撃するために設計され小型で機動性に優れているが、シーベイビーはペイロードが800kgを超え、大型で小回りが利かない分、より多くの爆薬を搭載でき、静止目標を攻撃する。2023年7月にクリミア大橋に攻撃を加えている。航続距離は1000kmで最大速度は90km/h。主にウクライナ保安庁(SBU)が運用している。ロシア軍が港湾施設の警備を強化したため、自爆攻撃は現状、MAGURA V5に譲っている。

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多連装ロケットランチャーを搭載したシーベイビー

シーベイビーは自爆攻撃をMAGURA V5に譲ったことで、別の兵装を追加。それが多連装ロケット砲(MLRS)だ。これにより海上から陸地に向けた対地攻撃、最近では船に対し攻撃を行っているのも確認されている。SBUは2024年1月にサーモバリック弾のRPV-16を発射できるランチャーを搭載したシーベイビーを発表している。RPV-16はいわゆる熱気化弾で爆発時の燃焼温度は2,500度に達し、爆発の震源地から最大70〜80mまで被害を及ぼす。最大射程は1000mになる。また、自走多連装砲のBM-21 Gradの122mmロケットランチャーを搭載したモデルも開発。最大射程は20kmになる。映像では一度に6発を発射しているのが確認できる。ただ、これらロケット弾の誘導能力は無く、揺れる海上からの発射を考えると精度は著しく悪いとされている。実戦でどれほど効果があるかはまだ不透明だ。

ウクライナ軍は小型の無人艇でだけで、大型艦を揃え、何倍もの戦力を揃えるロシア黒海艦隊と互角以上の戦いを行っている。ロシア軍はこれまで船舶26隻、潜水艦1隻をウクライナの攻撃によって失っている。

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