ポーランド軍は現在の兵力15万人から25万人に拡大することを計画しています

ポーランド軍は現在の兵力15万人から25万人に拡大することを計画しています
Photo Wojska Lądowe

ポーランド政府は10月26日に発表した新しい国防法を通じて、軍隊の規模を現在の約15万人から25万人に拡大することを計画していることを公表しました。

ポーランド政府は、パンデミックで被った国内経済を支援するために支出を増やすことを検討しており、その一環で軍隊の規模を拡大することを計画。拡大に伴う長期の兵役のための現金インセンティブのシステムを導入する新しい「国防法」を発表しました。ポーランド軍の兵力は陸軍、海軍、空軍合わせた正規兵11.5万人です。これとは別に志願制のボランティアからなる民兵組織の領土防衛軍3.5万人がいます。正規軍と領土防衛軍を合わせると約15万人の兵力になりますが、これに10万人を追加した25万人と大幅な拡大を計画しています。

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ロシアへの対抗

拡大の理由は「ロシアの脅威に対する対抗」です。NATOの一員であるポーランドは北部にあるロシアの飛び地カリーニングラード、親ロシアの隣国ベラルーシを挟んでNATOの対ロシアの最前線にあります。過去にロシア(ソ連)に侵攻、占領された苦い経験のあるポーランドはロシアによるウクライナのクリミア半島の併合と親ロシア派武装組織による内戦に危機感を感じています。ウクライナに起きていることが自国にも起きるのではないかと。その抑止力として軍の拡大を計画しています。

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徴兵制に戻る?

ポーランド軍
Photo Wojska Lądowe

ポーランド軍は2009年から志願制に移行しています。25万人の兵力を確保するには徴兵制が必要な気がしますが、戻すことはないだろうと予測されています。志願制でボランティアによって編成される領土防衛軍は2019年の2.3万人から、2022年までに倍増の5.3万人の規模に拡大することを計画しており、既に4万人規模の志願者数が集まっています。これはロシアの脅威の増大とウクライナの状況について国民が危機を感じている表れと推測され、志願制でも一定の兵力が確保できると考えています。また、多くの兵士を長く軍に留まらせることで中長期的な拡大も図ります。そのために25年間勤務している兵士には1,500ズウォティ(325ユーロ)、28年間滞在している兵士には2,500ズウォティ(540ユーロ)のインセンティブを与えます。

軍事予算はGDP比2%以上に

日本では防衛予算を現在のGDP比1%から2%にあげることで議論になっていますが、ポーランドの軍事予算は2020年時点でGDP比2.2%の529億ズウォティ (約1.5兆円)になり、2021年は2.44%になる見込みです。25万人に拡大するには更なる増加が必要です。政府は資金を確保するため、国家開発銀行BGKが発行する国債、中央銀行からの利益を資金源とする軍支援基金を創設するなど軍事資金調達メカニズムを導入すると述べています。

ポーランドの与党「法と正義の与党(PiS)」のリーダーであり、副首相でもあるヤロスワフ・カチンスキー氏は「最悪の事態、つまり戦争を避けたいのなら、私たちは古い規則に従って行動しなければならない。”平和が欲しいなら、戦争の準備をしなさい”」と述べ、ローマ帝国の軍事学者ウェゲティウスの格言で締めました。

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Source
https://www.reuters.com/world/europe/poland-upgrade-army-using-funding-methods-first-deployed-fight-covid-2021-10-26/
https://notesfrompoland.com/2021/10/26/poland-unveils-new-defence-law-to-counter-hybrid-threats-and-russias-imperial-ambitions/
https://www.defence24.com/poland-boosts-2021-defence-budget-by-more-than-15-billion

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