イギリス王室の離脱を決めたヘンリー王子。離脱後も父親の資金援助を受けて生活するなどの報道もあり、お坊ちゃまな印象を持つ人も多いと思うが、ヘンリー王子はかつてイギリス陸軍に入隊し、アフガニスタンでは実戦に参加した過去があるなどバリバリの軍人だったことをご存じだろうか。
王室男子は軍隊入隊が伝統
イギリス王室に産まれた男子は軍に入隊することが伝統になっている。父のチャールズ皇太子はケンブリッジ大学卒業後に英空軍、英海軍に入隊し、航空機の操縦や駆逐艦にも乗船していた。兄のウィリアム王子は陸海空軍の士官学校を経て軍に入隊し、それぞれ大尉まで昇進している。軍には入ったもののチャールズ皇太子もウィリアム王子も戦地には派遣されていない。ヘンリー王子も同じように伝統にならい軍に入隊するも父と兄と大きく異なるのがプリンスながら戦地に派遣され実戦に参加している点だ。
※ちなみにエリザベス女王も第二次大戦時には英国女子国防軍に入隊し補給物資の管理やトラックの運転など後方支援の任務に就いていた。
実戦に参加したヘンリー王子
ヘンリー王子は2004年9月に兵役に就き、2005年5月にサンドハースト陸軍士官学校に入学し一般の候補生と同様に44週間の訓練を受ける。2006年4月に卒業し、陸軍に入隊。装甲偵察部隊である「近衛騎兵連隊ブルーズ・アンド・ロイヤルズ」に士官として配属される。同年には連隊がイラクに派遣されると発表される。王子の戦地への派遣は国内でも賛否両論あったが王子は特別扱いを嫌い、強い意志もあり、派遣が決定される。しかし、派遣を前にイスラム過激派から王子を標的にするとの予告があった。もし王子の命が狙われたり捕らえられたりした場合、王子だけではなく周りの兵士たちが危機に直面するなどの理由に王子の派遣は中止される。王子はこれに大きく失望したが一度はこの命令を受け入れた。
アフガニスタンの極秘任務に参加
しかし、ヘンリー王子は部隊の兄弟達と共に戦い、部隊を率いるという決心は揺るがず、王子はついに2007年6月に、アフガニスタンのヘルモンド州の前方航空管制官として秘密裏に配備を許可される。そこで王子は航空管制官として爆弾の誘導任務を行いタリバン掃討作戦に従事する。この時、彼の部隊がタリバンの攻撃を受けるが撃退している。これは本国でも当時報道されなかった。そもそも、ヘンリー王子がアフガニスタンに派遣されていること自体も本国では報道されていなかった。これは前回のイラク派遣の時のように無用な危険を避けるためにメディアと報道協定が結ばれていたからだ。しかし、アメリカのメディアに漏れて報道されてしまい、王子はやむなく帰国することになる。
攻撃ヘリ「アパッチ」のパイロットとして再び戦地に
ヘンリー王子は2008年5月にイギリスに帰国すると攻撃ヘリ「Apach(アパッチ)」含むヘリの操縦訓練を始める。2012年9月にはアパッチの副操縦士、砲手として再びアフガニスタン南部に派遣される。この時、再びイスラム過激派から殺害予告が出されるが、今回、王子は本国に戻ることはなかった。王子は2013年1月まで派遣され、その間に地上部隊の要請を受けて砲手としてアパッチヘリからタリバンに対して攻撃を行っている。
その後2015年に王子はオーストラリア軍に出向している。そこではオーストラリア軍特殊部隊SAS(特殊空挺部隊)の訓練を行っている。そして2015年6月にヘンリー王子は軍を除隊した。除隊時の階級は陸軍大尉になる。
軍は離れたが軍の名誉職になり、2018年には陸海空軍の少佐に昇進している。
https://www.royal.uk/prince-harrys-military-career
https://www.forces.net/news/prince-harry-what-are-his-military-titles-and-patronages