ロシアの電子機器の80%を製造しているといわれるロシアの国営企業Ruselectronics(ロシアエレクトロニクス)の特殊無線材料中央設計事務所 (CDORM) がレーダー探知を防ぐ地上兵器用の新しいカモフラージュ素材を開発した。
Радиопоглощающий материал для маскировки боевой техники. Фото: Росэлектроника pic.twitter.com/benOoHRYan
— Ivan O’Gilvi (@o_gilvi) May 19, 2020
ロシアメディアの報道によると、この素材はナノ構造の強磁性マイクロコンダクターフィラメントで構成されており、この素材で覆われた兵器は軍事レーダーからの検知範囲を70%削減することができるという。この素材の反射係数がわずか0.5%であるため、レーダーの電磁波を99.5%吸収することができるため、敵のレーダーシステムに検知されるにくくなる。
開発された素材は今のところ冬季用で地上兵器にスノーカモフラージュをする際に利用される。ロシアの厳しい冬にも耐える耐久性があり、低温などの気候要因にも強いといわれている。
材料の設計と開発はすでに完了しており、Ruselectronicsによると、この素材は軍に順次納入される準備が整っているという。兵士向けの電波吸収迷彩服の開発計画も含まれている。
接近しないと探知できない
レーダーでの検知範囲が短くなるため、遠距離でのレーダー探知は難しくなる。ロシア戦車の天敵とされるのが米軍の攻撃ヘリAH-64A アパッチになる。AH-64Aにはロングボウ火器管制レーダーが搭載されており、半径8~16kmの距離で目標を探知し、8㎞の射程を誇るヘルファイア対戦車ミサイルで先制攻撃を仕掛けることができる。しかし、この新しい素材でカモフラージュされた地上兵器は2~5kmに近づかないと検知できないことになり、アパッチは撃墜リスクが増えることになる。また、スノーカモフラージュになるので雪上の場合、目視確認も難しくなる。今のところ冬季用だけだが、迷彩、砂漠仕様など全ての環境で対応できる素材が開発される可能性は高い。