ロシアがウクライナに本格侵攻する際に先手として使用するのでは?と噂されている兵器がある。それが「全ての爆弾の父(Father of All Bombs)」、NATOで”FOAB“と呼ばれる燃料気化爆弾だ。
核爆弾の次に強力な非核爆弾
FOABの存在が明らかになったのは2007年になり、非核爆弾としてロシア軍がテストを行っていると報じられた。ロシア語では”大出力ドロップ燃料気化爆弾“を意味する”Авиационная вакуумная бомба повышенной мощности”の頭文字をとって「АВБПМ」と呼ばれ、その威力は小型の戦術核爆弾に匹敵する。NATOはあまりにも強力な威力を持つこの爆弾を畏怖の念を込めて「全ての爆弾の父(FOAB)」と呼んだ。
その威力はTNT火薬44トン相当に及ぶ。これはそれまで、非核爆弾では最強と言われたアメリカのMOAB(GBU-43/B )※1の4倍になる威力だ。しかも重量10トンのMOABに対し、7トンと軽く、より小型とされる。爆弾は爆撃機から投下され、核爆弾と同様に空中で爆発、超音速の衝撃波と高温によって、同じ質量の通常兵器よりも広いエリアに戦術核兵器と同様の被害をもたらす。その範囲はMOABの20倍、半径300mのエリアになる。核爆弾に匹敵する威力がありながら核と違うのが、爆発後の放射能汚染がないことだ。
※1 MOABは”Mother of All Bombs“の略で「全ての爆弾の母」になる。
しかし、FOABはロシア軍の中でも超極秘扱いの兵器であり、情報は少なく、実験の有無、製造、配備されている爆弾の数、および、これが現在もアクティブかどうかについても確認することはできない。
これだけの威力なので、使用すれば二次被害、民間人も巻き込む可能性は高く、これがウクライナで使用される可能性は低い。噂はあくまで、脅しかと思われる。