ウクライナ侵攻において初期の計画が失敗としたとされるロシア。現在、軍の立て直しを図っているとされるが、そもそも士気の低い兵士と徴兵で若い兵士を動員したところで兵力が回復したとしても、二の舞になるだけだ。そこで、動員が噂されているのが「Yunarmiya(ユナルミヤ)」と呼ばれる10代の青少年軍団だ。
愛国教育を受け付けられた若者たち
ユナルミヤとはロシア国防省傘下の組織で、子供たちに愛国心を植え付けることを目的にセルゲイ・ショイグ国防相の要請でプーチン大統領が発令した大統領令によって2016年7月に発足した組織。8~18歳の少年少女を対象に愛国心、国家奉仕、歴史、そして、軍隊の価値を新しい世代に浸透させるという目標を掲げているが、幼いころから愛国心を徹底的に植え付け、国家に忠実な国民、リーダーを育てる側面もある。
少年少女はいわば軍予備軍で将来の士官候補生になり、戦史についての勉強や体力強化のためのスポーツ、登山といった活動の他に、武器やパラシュートの取り扱い、応急処置、救護活動といった軍事訓練が含まれる。
入隊の際には以下の宣誓を行う。
「私は、研究とスポーツでの成功を目指し、健康的な生活を送り、祖国のために奉仕し、働く準備を常に整え、私たちの自由と独立のために戦った英雄の記憶を大切にし、祖国、愛国者であり、ロシアの立派な市民になることを誓います。」
彼らは赤いベレー帽、カーキのユニフォームを着用、2017年の戦勝記念日で初めて軍のパレードに参加して以降、軍の公式行事にも参加している。発足時は2000人だったユナルミヤは今や30万人を超えるとされる。
ユナルミヤをウクライナに動員か
ウクライナ国防情報局はプーチン大統領とセルゲイ・ショイグ国防相が、17〜18歳の未成年者をウクライナ侵攻に動員させる準備をしていると報告している。3月15日にはショイグ国防相がウクライナの領土で特殊作戦を開始するために、軍事愛国的な市民運動ユナルミヤのメンバーを動員することについての命令に署名したとされる文書を公開した。
戦闘経験もなく、非常に若い彼らではあるが、幼いころから徹底的に愛国心を植え付けら、他の職業軍人や徴収兵に比べれば、士気が高く、命令に忠実と考えられる。
ナチスのヒトラー・ユーゲントと似た組織
そんなユナルミヤを西側はナチスの「ヒトラー・ユーゲント」と同一視している。ヒトラー・ユーゲントは1926年にナチス・ドイツによって設立された10~18歳の少年少女を対象にした青少年団体で、幼いころからナチスのイデオロギーを徹底的に教え込まれた。第二次大戦が始まると軍事訓練も活動に組み込まれ、戦況が悪化した末期には国民突撃隊に併合され、1944年9月から1945年1月までに15万人の未成年の少年少女がナチス軍に徴兵され、戦闘に参加した。ロシアは”ユナルミヤ”が「ヒトラー・ユーゲント」と同一と見られることに対して抗議している。
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