台湾、トランプ政権かでF-35、イージス艦の購入を狙う

台湾、トランプ政権かでF-35、イージス艦の購入を狙う
USAF

台湾は防衛力強化のため、トランプ新政権下でアメリカからF-35戦闘機、イージス駆逐艦の購入を検討しており、既に非公式に打診。トランプ次期大統領は選挙期間中「台湾の防衛費は不十分」と発言していた。

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タイペイタイムズなど複数の台湾メディアは台湾当局がドナルド・トランプ次期大統領に対し、中国からの自国を防衛することに真剣であることを示すため、F-35戦闘機、イージス駆逐艦を含む最大150億ドルの軍事装備の調達する意向を次期米国政権に連絡したと報じた。イギリスのフィナンシャル・タイムズによれば、この150億ドルのパッケージでは、F-35戦闘機60機、E-2Dホークアイ先進型早期警戒機4機、イージス艦10隻、パトリオット防空ミサイル400発の購入を要求する可能性がある。これらの装備は以前から購入を要求していた。

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トランプ再選で台米関係は悪化?

トランプ氏は一期目の当選時、台湾総統と電話会談を行い、アメリカが尊重していた「一つの中国政策」を無視する行為を行い物議を呼んだ。中国に対しては厳しい姿勢をとる一方、台湾とは高官の相互往来を促進する「台湾旅行法」に署名、F-16戦闘機やM1A2エイブラムス戦車を含む総額210億ドル相当の台湾向け支援策11件を承認し、在任時、米海軍艦艇による台湾海峡航行を13回行うなど、米台連携を強化した。しかし、一期目と比べるとトランプ氏は台湾に対し、選挙活動時から厳しい態度を示していた。「台湾はアメリカに防衛費を払え」、「台湾の防衛費は不十分」、「台湾がアメリカの半導体産業を奪った」と批判的な発言を繰り返していた。それもあり、台湾当局はトランプ氏の再当選に諸手を上げて喜べない状況であり、トランプが当選すると早速、前政権時の政権幹部に連絡、非公式の電話会談を行ったとされる。その中の話で上がった一つが武器取引だ。

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最優先はイージス艦

購入リストの最重要品目とされるのがイージス艦だ。台湾の軍事力は世界で20位前後だが、島国で海峡を隔てて中国の脅威にさらされている台湾は海軍に力を入れており、海軍力は10位前後と陸海空の中で最も高い。海軍は約4万人の兵員に80隻以上の艦船を有している。しかし、艦船の多くは米海軍の退役艦を購入、または古いモデルをライセンス生産したものだ。最近は国産化を進めており、玉山級ドック型輸送揚陸艦、海鯤級潜水艦を就役させ近代化を図っているが、世界の海軍強国が保有するイージス艦に関しては一隻も保有していない。イージス艦は高性能のフェイズアレイレーダーと通信、火器管制システム、対空ミサイルなどを搭載し、ミサイルや航空機による空からの攻撃に対して高い防御能力を持つ艦船だ。中国やロシアもイージス艦は持っていないが、独自のフェイズアレイレーダーを搭載した、イージス艦に近い性能を持つ艦艇を持っている。海上での防空能力は劣るのが現状だ。

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狙うのはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦

米海軍は5隻のタイコンデロガ級巡洋艦を退役させます
US Navy

台湾が狙っているのが、米海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦だ。タイコンデロガ級は空母打撃群の防空能力を強化するために対空ミサイルを搭載する艦艇として1978年に建造が始まり、1983年に1番艦が就役。計27隻が建造された。その後、アップグレードにより、イージスシステム、弾道ミサイル防衛能力が追加。艦齢は古いもののミサイル巡洋艦として、攻撃、防御、双方において今でも高い能力を誇っている。船は両用即応艦隊、空母打撃群に組み込まれ、強力なレーダーと対空および対ミサイル兵器を活用して艦隊を保護。現在、米海軍唯一の巡洋艦になる。

その後、最新のイージスシステムを搭載した100隻近いアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦が登場。最新のイージス駆逐艦DDG(X)の開発も始まっており、艦齢40年を超えるタイコンデロガ級は2027年までに全艦退役される事が決定。その後、内3隻が2030年以降まで運用が延長される事が決定しているが、既に20隻近くが退役している。タイコンデロガ級は台湾が望む10隻のイージス艦の要件を満たし、アメリカとしても新鋭艦ではないし、退役した船なので売却する上での支障は少ない。

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F-35の売却は難しいか

雷に弱かったF-35ライトニングII、雷規制解除

台湾は最新の第5世代ステルス戦闘機F-35ライトニングIIも狙っているが、これは難しいかもしれない。F-35は基本的に同盟関係にある国にしか売却していない。台湾とアメリカは安全保障に関する協定は結んでいないし、そもそも「一つの中国政策」のもと、台湾を国として認めていない。また、高額なF-35の購入は軍事予算を圧迫させるともに、その後、運用保守の懸念もある。高度なステルス機能とアビオニクスを独自にメンテナンスする事はできない。しかし、太平洋のF-35の保守拠点は日本とオーストラリアの2つ。両国ともに対中関係を考慮して台湾のF-35のメンテを受け入れる事はないだろう。高額で運用が面倒なF-35を購入するよりも、今の主力戦闘機であるF-16Vと防空ミサイルの数を増やす事が先決という声もある。

選挙活動時、台湾に対し、厳しい姿勢を見せていたトランプ氏だが、記者からの「台湾防衛のために米軍を派遣するか?」という質問に対し、「その答えはイエスだ」と明言している。 ただ、現行の戦争権限法と台湾関係法は米大統領に台湾を防衛する権限を与えていない。

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