英文台湾日報によると台湾は来年2022年から遠隔操作の対ドローン防空システムの確立に本格的に着手する予定で、プロジェクトの予算はすでに中央政府によって承認されています。防空システムは離島、軍事基地、及びミサイル基地に優先的に配備される予定です。
台湾の防衛および安全保障に関して調査・研究を行う国防安全研究院(INDSR)は中国が世界のドローン市場を支配していると警告、軍用ドローン、特に小型ドローンに対する台湾への脅威に言及しました。これを受けて台湾政府は対ドローンの防空システムの開発のために1億5,703万ドルの予算を確保。まずは空軍によって開始され、台湾全土の45か所にシステムを設置すると発表しました。すでに陸軍は5セットのドローン防衛システムと232丁のジャミングガンを海軍は43丁のジャミングガンを購入しています。
脅威は戦闘機・ミサイルからドローンへ
台湾海峡を挟んで長年、中国からの軍事的脅威にさらされている台湾は世界でも屈指の防空システムを構築しており、防空システムのミサイル密集度は周囲を敵対勢力に囲まれているイスラエルに次いで世界2位とされ、その数は7,700基以上とされています。近年はアメリカの協力もあり、一層、防空システムは強化され、航空機・ミサイルからの脅威に対し強固な防空陣地を構築しています。しかし、近年、航空機、ミサイル以上の脅威が出現。それが無人機・ドローンです。中国はこの分野で世界をリードしており、ドローン市場では中国企業が上位を占めています。ドローンは航空機、ミサイルと比べて安価に製造が可能で運用も簡単。近年、戦場においてドローンの活躍が目立ち、大きな戦果を挙げています。台湾と中国との距離は台湾海峡を挟んで135kmしかありません。また、台湾が実効支配する金門島に限っては僅か2.1kmしか離れていません。小型・中型ドローンでも飛行できる距離です。安価なドローンは航空機やミサイルと比べ損害も気にせず使用できるため、大量投入も可能です。もし、最初にドローンによる大規模攻撃があった場合、既存の防空システムの短距離対空ミサイル(SAM)が打ち尽くされ、第2波のミサイル、第3波の戦闘機による攻撃に対処できない可能性があります。また小型ドローンは従来の対空レーダーでは捕捉しにくいとされ、防空網の隙間を狙われます。これらの脅威に対抗する手段として、 INDSRは今年7月の報告書で小型ドローンも捕捉するレーダー、撃墜するための遠隔操作武器ステーション(RWS)の開発を提案していました。
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https://www.taiwannews.com.tw/en/news/4279878
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