アメリカ空軍特殊作軍第24特殊作戦航空団・第26特殊作戦飛行隊に所属する戦闘管制官のAlaxey Germanovich(アレクシー・ゲルマノヴィッチ)軍曹は2017年のアフガニスタンでの任務中、近接航空支援により窮地に陥ったグリーンベレーを含む150人の友軍を救ったとして、12月10日、名誉勲章に次ぐ空軍十字勲章を受章しました。
Photo by US airforce米軍特殊部隊というと海軍のネイビーシールズや陸軍のデルタフォース、グリーンベレーにフォーカスされがちですが、空軍にも特殊作戦コマンド(AFSOC)はあります。むしろ現代の特殊作戦において空か[…]
任務時の状況
第26特殊戦術部隊の戦闘管制官であるゲルマノビッチ軍曹は、アフガニスタン北西部のナンガルハール州にある要塞化された谷からタリバン及び反政府派を一掃する「自由の歩哨作戦」に米陸軍特殊部隊グリーンベレーとアフガン特殊部隊と共に参加、航空支援を調整する任務に就いてました。数日間に及ぶ任務は次第に激しくなりつつあるなか、2017年4月8日、部隊は敵の待ち伏せを受けます。四方八方から狙撃手と機関銃による銃撃を受け、部隊は岩陰に抑えつけされます。アフガニスタン兵士が撃たれ負傷、彼を運び出さなければなりませんでしたが、敵は接近しており、とてもそこから脱出できる状況ではありませんでした。そこで、軍曹は空軍に航空射撃支援を要請。部隊の位置から僅か35mしか離れていない位置に危険な近接航空支援を指示します。指示を受けた上空のAC-130W StingerIIガンシップは砲撃による空爆を行います。
空爆によってできた活路を使って負傷者を運び出し部隊は反撃に転じます。グリーンベレーが敵のバンカーを発見、手榴弾による攻撃を行うも反撃を受け、グリーンベレーのデ・アレンカー軍曹が致命傷を負います。弾薬も全て撃ち尽くし部隊は混乱します。ゲルマノビッチ軍曹は再度、ガンシップに近接航空支援を要請するも、機体は給油のために既に作戦空域を離れていました。このままでは隊が全滅するとして、ガンシップに「あなた達が戻ってこなければ、私たちは死んでしまう」と懇願。絶望的な状況を聞いたパイロットは引き返し、再度空爆を実施します。その間に軍曹は部隊に撤退を指示。700m離れた撤退地点まで負傷者を運びました。その間も軍曹は近接航空支援を指示し、撤退を支援します。8時間を超える戦闘の中で軍曹は150名の友軍の命を救い、敵部隊が位置していた11か所を破壊しました。
近接航空支援は危険
近接航空支援は地上部隊と航空機の綿密な調整とコミュニケーション、少しでも間違えが許されない正確な攻撃地点の指示が必要です。少しでも座標を間違えれば友軍を誤爆することになります。軍曹は満足に観測ができない過酷な状況の中、近接航空支援を指示し、攻撃を成功させ、味方を救いました。彼の正確な指示が無ければ部隊は全滅していたかもしれません。
空軍十字勲章は名誉勲章に次ぐものであり、米国の敵との戦いに従事している間に並外れた英雄的行動を示した軍隊のメンバーに与えられます。ゲルマノビッチ軍曹は9.11以来空軍十字勲章を受け取る12番目の特別戦術空軍兵になります。