ウクライナ軍は大量にある対戦車地雷を投下式の無誘導爆弾に改良し、新たな兵器として再利用していることが分かった。
And so it begins…
— Artoir (@ItsArtoir) September 6, 2023
TM-62 landmines modified with grenade fuses, being dropped from Ukrainian drones. pic.twitter.com/b7qHNQNoh5
ウクライナはドローンから爆弾を投下し、ロシア軍陣地を攻撃する動画を公開した。このような映像は今回の戦争で多数公開されているが、注目すべきは落下した爆弾が対戦車地雷という点だ。投下されたのはソ連製のTM-62対戦車地雷。通常は地上に敷設するもので円形で平べったい形は投下爆弾には向いていないがTM-62には簡易的な安定翼が装着されており、ドローンから投下するとほぼ垂直に落下して、着弾と同時に爆発した。ここで注視したいのは落下と同時に爆発したことだ。
対戦車地雷はその名の通り、戦車といった重装甲の車両を破壊するために設計された地雷のことだ。通常の地雷のように信管を踏むと起爆する感圧式が一般的だが、数十トンの車両を標的にしているため100kg以上の重量が掛からないと起爆しない。人間が多少手荒に扱ってもそうそう爆発することはない。落下させたとしても衝撃だけでは爆発せず、信管が上手いことに真下に来て、大きな圧が掛からない限りそうそう起爆しない。今回、地雷は側面が下になる形で落下しているので、普通、これでは起爆しないが、映像では地上に落下とほぼ同時に爆発している。
Drone delivery system for a TM-62 mine with a grenade fuse. That is 7kg of explosives…https://t.co/94NR8t0fMl pic.twitter.com/UstUic0tDw
— Def Mon (@DefMon3) September 3, 2023
落下したTM-62対戦車地雷には上面中央にある信管が取り外されている。その代わりに上の映像を見て分かるように側面に手榴弾用の信管が装着されている。つまり、仕組みとしては落下の力で手榴弾の安全ピンを抜き、レバーが外れて、ストライカーが起き上がり雷管を叩き、導火薬に火をつけ、火薬まで達すると爆発するという構造。手榴弾の場合、通常、レバーが外れてから爆発までは4~5秒ほどだ。つまり、投下したTM-62は落下の衝撃で爆発しているのではなく、手榴弾の要領で時間差で爆発しているのだ。
これは非常に有効な兵器の再利用かもしれない。なぜなら、この対戦車地雷、数万、いや数十万という数が今回の戦争で使用されている。ロシアはこれを大量に遺棄、または埋設している。つまり、ほぼ無限に地雷はあると言ってもよい。しかし、攻勢にまわる今のウクライナに対戦車地雷はそこまで必要ではなくなっており、使い道がない。これを投下式の爆弾として使用できれば、かなり有効な再利用方法になる。戦車を破壊する対戦車地雷はこれまで使用していた手榴弾や迫撃砲弾よりも威力が高く、より効果的な攻撃が行える。
ただ、ネックとしては重量だ。TM-62の重量は7kgと重く、中型以上のクアッドドローンにしか搭載できない。この手のサイズのドローンはそう多くはない。