アメリカ海軍が現在運用しているLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇は耐久年数の終わりに近づいています。そこで、米海軍は新しいエアクッション(LCAC)揚陸艇Ship-to-Shore ConnectorことSSCを開発。11月に試験を終え、初期運用に近づいています。
LCACとは
SSCは現在、海軍及び海兵隊で運用されている LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇の後継として開発された揚陸艇です。LCAC(エルキャック)はLanding Craft Air Cushionを意味しており、船底にエアクッションを用い、空気の力によって浮き上がるホバークラフトです。後方の巨大なプロペラエンジンの推進力で水上を移動し、そのまま、砂浜に上陸でき、海岸線の陸上も移動できる水陸両用艇になります。 LCAC-1級は戦車も搭載可能な最大60トンの積載能力を有しており、フル装備の海兵隊員で最大180名、エイブラムス戦車であれば1輌が搭載できます。速度は空荷で100km/hを超え、全荷重でも74km/hという高速で移動、海岸線に部隊を即座に送り届けるまさに強襲揚陸艇です。迅速な輸送能力と港湾施設が必要ない柔軟性から人道支援や災害対応の用途でも多く利用されています。米海軍では1982年からLCAC-1級の調達を開始。これまでに91隻が納入されています。 LCAC-1級は海上自衛隊でも採用されており、これまでに6隻が配備され、主におおすみ型輸送艦の搭載を目的に同艦のウェルドックに収納されています。
ピットロード 1/144 海上自衛隊 エアクッション型揚陸艇 LCAC 10式戦車1輌付 プラモデル D03
寿命を迎えるLCAC-1級
LCAC-1級の耐用年数は20年になります。年数通りに行くならば初期に配備されたLCACは2002年頃には引退を迎えることになりましたが、他の兵器同様に耐久年数を伸ばす近代化改修が行われ、耐久年数が10年延長されます。しかし、その10年も過ぎた今、運用から30年が過ぎたLCACから徐々に退役が始まっています。2019年にはLCACの在庫は50を切ったとされています。その後継になるのがSSCになります。
LCAC-1級の後継SSC(LCAC-100級)
LCAC-1級の最初の耐久年数を迎えた2003年頃には既に次期LCACの開発の計画が開始され、2012年7月に三社によるコンペの末、TextronSystemsが選ばれ、総額5.7億ドルの契約が授与されます。海軍海洋システムコマンド(NAVAIR)によれば2020年2月に最初のSSCが海軍に引き渡されています。SSCは海軍配備時にはLCAC-100級と呼ばれます。LCAC-1級では製造番号ことに91までの番号が割り振られました。SSCには100番台の番号が割り振られることから LCAC-100級となります。最初の100と101はプロトタイプであり、米海軍に最初に納入されたのはLCAC-102になり、2021年6月には2隻目のLCAC-103が納入されています。 サイズ的にはLCAC-1級と同寸法で全長26.8m、最大幅14.33mになります。これはこれまでLCACを搭載・収納してきた揚陸艦や輸送船と互換性を維持するためです。揚陸艇としての性能は上がっており、最高速度は90km/h、積載時で65km/h。積載量は最大74トンに増加。耐用年数は最初から30年になります。
NAVAIRによれば11月に運用試験を終了。2022年に初期運用能力を得ることを予定しています。計73隻の調達を予定しており、 既に量産体制は整っており、LCAC104-115の連続生産が始まっています。 TextronSystemsの年間生産数は最大12隻になり、2034年までに全隻が納入される予定です。
Sorce
https://www.textronsystems.com/products/ship-shore-connector
https://www.navsea.navy.mil/Home/Team-Ships/PEO-Ships/Ship-to-Shore-Connector-SSC/