ウクライナ軍のF-16戦闘機が墜落、パイロットは死亡

ウクライナ軍のF-16戦闘機が墜落、パイロットは死亡

ウクライナ軍のF-16戦闘機が墜落し、パイロットが死亡した。8月初めにウクライナに配備されたF-16は8月26日のロシアによる空襲の防空任務として初陣を飾ったばかりだった。

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CNNの報道によれば、ウクライナ軍筋の情報として、ウクライナ空軍のF-16戦闘機が26日月曜日に墜落し、ウクライナのトップパイロットでコールサイン「ムーン・フィッシュ」の愛称で知られるオレクシー・メス氏(30)が死亡した。同氏は29日木曜日に埋葬された。F-16戦闘機は今月初めにウクライナに配備されたばかりで、一か月も経たない内にウクライナ空軍は貴重な機体とパイロットを失ってしまった。メス氏はもともとMiG-29戦闘機のパイロットで同飛行隊の指揮官を務めていた。2023年8月から米国でF-16戦闘機の操縦訓練を受け、ウクライナ空軍F-16飛行隊の最初のパイロットの一人として配属されていた。

F-16が墜落したとされる26日月曜はロシアによる大規模な空襲があった日で、200発に及ぶミサイルと無人機がウクライナの広い地域を襲った。その防空任務としてF-16が出撃した事をゼレンスキー大統領は発表しており、F-16は多数のミサイルと無人機を撃墜するなど「良い戦果」を挙げたと述べ、初の撃墜記録を達成していた。メス氏が操縦するF-16はこのミッション中に墜落した。

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F-16の墜落原因は今のところ発表されていないが、ロシア軍による攻撃によって撃墜されたものではないというのが大方の予測だ。ウクライナ軍に供与されたF-16戦闘機は供与予定数の10分1の6~10機にすぎず、訓練を終えたパイロットも僅か10名前後しかいない。しかも、まだ配備されて一か月も経っておらず、ウクライナ空軍はF-16を慎重に扱っている。ウクライナ軍の司令官オレクサンドル・シルシキー氏によると、まだ前線での戦闘には限界があり、ロシア軍に撃墜されるリスクを考慮し、F-16の運用は前線から40km以上離れた場所に制限している。また、F-16は旧式のソ連製戦闘機と違い、AN/ALQ-213電子戦システムを装備、センサー、ジャミング装置、チャフ、フレアを搭載、対空ミサイルに狙われても回避できる能力を持ち合わせている。

そのため、墜落原因はパイロットの操作ミスか機体トラブルと推察されている。ウクライナ空軍のF-16パイロットは通常1年かかる訓練を半年ほどで終えているとされる。NATOの操縦カリキュラムを終えているので、基本的な操縦は問題ないと思わる。実戦と訓練とでは大きくことなるが、メス氏はMig-29で実戦は何度も経験している。今回、パイロットが死亡しているが脱出装置が使用されたかどうかは明らかにされていない。

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※映像 友軍に撃墜されるウクライナ軍のMig-29戦闘機

墜落原因として、もう一つ考えられるのが自軍の防空ミサイルによって撃墜された可能性だ。友軍の誤射による戦闘機の撃墜は度々起きており、少なくともこれまで3機のウクライナ軍戦闘機が自軍の防空ミサイルの誤射によって撃墜されている。ちなみにロシア軍はこれよりさらに多い。

旧式のソ連製戦闘機しかないウクライナはロシア空軍に対抗するためF-16戦闘機の供与を開戦当初から切望してきた。2023年5月の広島サミットでバイダン大統領がようやく容認すると、それから1年以上を費やし、今年8月初めに配備された。しかし、パイロット訓練に半年から1年の期間を擁し、英語能力が必須のため、育成が思うように進んでおらず、訓練を終えたパイロットは10名前後にすぎない。貴重なパイロットを失ったのはウクライナ空軍にとっては大きな打撃だ。F-16の供与は100機を超える予定で、今年中に計20機が供与される計画だ。

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