ウクライナ国防省情報総局は12日、黒海上空でロシア航空宇宙軍の多用途戦闘機Su-30SMを携行式防空ミサイル(MANPADS)で撃墜した事を映像付きで発表した。
黒海海域での作戦中だったウクライナ国防省情報総局の特殊部隊GURの隊員らは船上から発射したMANPADSでロシア空軍のSu-30SM戦闘機を撃墜した。この機体はロシア軍に占領されているクリミア半島サカの飛行場を拠点とするロシア空軍の第43独立海軍航空連隊に所属している機体であるとウクライナ当局は発表している。
Su-34SMは搭載した6発のミサイルの内、4発を海上の標的に向けて発射した後、レーダーから消えた。
ロシア軍は2024年9月11日午前5時頃に同機と連絡が途絶えたとし、約3時間後、An-26航空機、Mi-8およびKa-27ヘリコプターを含む捜索救助活動を開始。パイロット2名の脱出は確認されておらず、死亡したとされている。
Su-30SM
Su-30SMのベースとなっているSu-30はSu-27フランカー戦闘機を発展させて開発された第4世代の多用途戦闘機で1980年代に開発、1997年にロシア空軍で運用が始まった機体。そして、それを更に発展させた改良型として2012年から生産が始まったのがSu‐30SMになり、価格は5000万ドルとされている。Su-34と共に、ロシア空軍の主力戦闘爆撃機として運用されている。Su-30はSu-27と比較し、カナードの追加、装備のアップグレード、空中給油システム、兵器スイートは大型化され、計12発の空対空および空対地ミサイル、爆弾を搭載可能なハードポイント、30mm機関砲を装備。Su-30SMでは拡張性のあるオープンアーキテクチャを取り入れた最新のアビオニクスを採用、2014年のクリミア併合に伴う西側の制裁前に開発されたこともあり、HUDにはフランスのタレス社製が採用されている。この1機5000万ドルの機体を今回の機体を含め、ロシア空軍はこれまで、少なくとも12機を失っているとされ、損失は6億ドルを越える。