米海軍、日本にレーザー兵器を搭載した唯一のアーレイ・バーク級駆逐艦USSプレブルを配備

米海軍、日本にレーザー兵器を搭載した唯一のアーレイ・バーク級駆逐艦USSプレブルを配備
US Navy

アメリカ太平洋艦隊司令部は15日、駆逐艦搭載用の高出力レーザー兵器「HELIOS」を搭載したアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「USS Preble(DDG88)」が、2024年10月12日に横須賀のアメリカ海軍基地に到着し、第15駆逐艦戦隊と合流。米海軍第7艦隊に加わったことを発表した。

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USS Preble(プレブル)はアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の38番艦として建造され、2002年11月9日にボストンで就役し、その後、約22年間サンディエゴ海軍基地を母港としていたが、この度、横須賀基地を母港とする第7艦隊第71任務部隊第15駆逐艦戦隊に配備された。「DESRON 15」とも呼ばれる第15駆逐艦戦隊は日本の横須賀に前線配備されている10隻のアーレイ・バーク級駆逐艦で構成されるアメリカ海軍最大の駆逐艦戦隊。第7艦隊は、米海軍最大の前方展開艦隊であり、自由で開かれたインド太平洋地域を維持するために、同盟国やパートナーと定期的に交流し、活動しており、第15駆逐艦戦隊はその重要な任を担っている。プレブルの配備について第15駆逐艦隊司令官のジャスティン・ハーツ大佐は「プレブルが西太平洋のチームに加わることを大変嬉しく思います。同艦の到着はDESRON 15ファミリーへの歓迎すべき追加であり、その高度な機能は独自の価値を付加します。同盟国やパートナーと共にプレブルを進水させ、その能力を見るのが楽しみです。」と語った。プレブルの配備に伴い、2015年10月から配備されていたUSS ベンフォールド (DDG-65)が横須賀を離れる予定だ。

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高出力レーザー兵器「HELIOS」を搭載する唯一の駆逐艦

今回、新たに編入されたUSSプレブルは他のアーレイ・バーク級に無い特徴を持っている事で世界から注目されている。それは高出力レーザー兵器「HELIOS」を搭載した米海軍唯一の駆逐艦だからだ。HELIOSは日本語で”高エネルギーレーザー統合型光学眩惑・監視装置”を意味する「High Energy Laser with Integrated Optical-dazzler and Surveillance」の略語で、その名の通り、高出力のレーザーを照射する兵器だ。ロッキードマーティン社によって、ドローン、ミサイル、その他の空中目標、さらには小型船舶などの空中脅威を迎撃するアーレイ・バーク級用の艦載兵器として2018年に開発された。60kW以上の高エネルギーレーザー照射をし、高温によって標的を熔解させたり、爆破破壊する。将来的には120kWまで拡張される予定で、これだけの高出力になれば、対艦ミサイルをも迎撃できるとされている。

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レーザー兵器の最大の利点は実弾と違い物理的な制限が無い事で、エネルギーが続く限りは無限に照射が可能だ。昨今、海上においてもドローンの脅威は増しており、紅海ではイエメンの自爆ドローンによって、多くの民間船が被害を受けている。今のところ、海上でドローンによる飽和攻撃は確認されていないが、ドローンが大量に押し寄せた場合、対空ミサイルでは対応しきれない、また、少数でも都度、ミサイルで迎撃していては安価なドローンにたいし、費用対効果は悪く、数も持たない、近距離防空システムのCIWSなども弾薬の消費が追い付かない可能性も。高出力エネルギー兵器は防空ミサイル、CIWSの隙間を埋めることが期待されている。

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HELIOSは独立して動作することもできるし、イージス艦に搭載されたレーダー戦闘システムとデータを統合することもでき、防空ミサイルと組み合わせても使用​​できる。多層防御ネットワークにより、標的の脅威の優先順位、どの兵器を使用して迎撃すべきかを識別、無人機、高速ボート、その他標的を最適な方法で迎撃し破壊することができる。このHELIOSを搭載する船として2019年に選ばれたのが今回、日本に配備されたプレブルになる。2021年にHELIOSを搭載するためのアップグレード改修を受けており、システムはアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の中でも最新になる。

今回、HELIOSを搭載するUSS Preble(DDG88)が横須賀に配備された目的などは明らかにされていない。まだ、HELIOSは完全実用化にはいたっておらず、まだ海上試験の段階にある。

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