VHS/VHS-2はクロアチアのHS produkt(プロダクト)社が開発するブルパップ式の多機能アサルトライフルで、クロアチア軍の主力小銃の一つです。
クロアチアのHS produktが開発
クロアチア軍は1991年の独立以降も旧ユーゴスラビア時代の流れでセルビア製のツァスタバ M70を使用してきましたが、2008年から国内銃器メーカーのHS produkt社が開発するブルパップ式のアサルトライフルVHSに切り替えを決めます。HS社は日本で知名度は低いですがHS2000ピストルで成功を収め、アメリカではスプリングフィールド社がスプリングフィールドXDという名で発売。FBIなど法執行機関にも採用されるなどアメリカで90%の売上を稼いでいます。
VHS
VHSは5.56×45mmのNATO仕様のアサルトライフルとして開発始まり、2004年に初めて発表されます。VHSはクロアチア語で”Višenamjenska Hrvatska Strojnica”を表しており、「多機能クロアチア自動小銃」を意味しています。
2007年にアフガニスタンに展開するクロアチア軍の部隊に配備されフィールドテストを行い、2008年より本格配備が始まります。VHSはフランスのFAMASにそっくりの外観で同じブルパップ機構に大きなキャリングハンドルを採用します。所見ではFAMASとの区別がつかないほどです。
発射機構とマガジンがトリガーより後方に配置されるというブルパップのメリットを活かした設計になっており、長いストックが必要なく、全長を短くしながらもより長いバレルを装着でき、飛距離、威力を保持することができます。独立戦争で市街地戦を多く経験したクロアチアは、都市環境での操作性を意識したものと思われ、CQBにおいて高い操作性を発揮します。ポリマー製パーツも多用し、軽量化を図っています。
VHS-2
2013年4月にはVHSの改良版としてVHS-2が登場します。新しいファイアセレクター、再設計されたキャリングハンドル、5段階伸縮式のストック、回転ボルト式のショートストロークガスピストン作動システムを採用しています。また、ブルパップのデメリットある排莢、ガスが射手に近いという点において、特に左利きの場合、目の前を薬莢が飛ぶなど影響が大きかったですが、左右対応の排莢システムが導入されました。キャリングハンドルとハンドガード下部にはピカティニーレールを採用。拡張性が向上、ハンドガード下部にはVHS-BG 40mmグレネードランチャーが装備できます。マガジンは30ラウンドの耐久性のある半透明のポリマーでできており、射手はマガジンを取り外すことなく残弾数を素早く確認することができます。
VHS-2には2つのバージョンがあります。バレル長410mmの標準モデルVHS-2 K。そしてバレル長が500mmと長い、マークスマンモデルのVHS-2Dです。また、キャリングハンドルに内蔵型の1.5倍光学レッド・ドットサイトを採用したVHS-2 CTcalがあります。
VHS-2はボスニアやアルバニア、イラクなどの警察、法執行機関の間で採用が進んでいます。