プリゴジンの乱はなんだったのか?ワグネルは事実上解体か?

プリゴジンの乱はなんだったのか?ワグネルは事実上解体か?
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24日未明に始まったロシアの民間軍事会社ワグネルによる軍事クーデター。開始から僅か10時間未満でロシア南部のロストフ州の主要な軍事施設を押さえ、南部軍管区司令部まで制圧するという電撃戦を展開したが、終わりも早かった。プリゴジンは何をしたかったのだろう。

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プリゴジンは以前から戦果が乏しいロシア軍の醜態を批判していた。更にはバフムトでの戦果を横取りされたり、兵器の補給がないなど、ワグネルの扱いが悪いことに不満を漏らし、その矛先は軍のトップであるショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長に向いていった。そして23日、ワグネル陣地がロシア軍のミサイル攻撃を受けたことで、プリゴジンのロシア国防省への怒りの沸点が頂点に達し、24日未明、軍事クーデターが始まった。ウクライナから国境を越え、南部ロストフ州に移動。10時間もかからない内に主要な軍事施設と南部軍管区総司令部を制圧。その勢いは止まらず、そこから北上すると、モスクワまで車で6時間、500kmの距離にあるヴォロネジまで部隊を進軍させ、制圧する。

この間、ロシア軍とワグネルの間では散発的な戦闘が起きており、ロシア軍は少なくとも1日で、3機のMi-8MTPR電子戦ヘリコプター、各1機のMi-8ヘリ、Ka-52攻撃ヘリ、Mi-35ハインド攻撃ヘリ、Il-22M11空中指揮機と6機のヘリ、1機の固定翼機が撃墜され、10名以上が亡くなっている。皮肉にもこれらはロシア軍がワグネルに提供した防空システムによって撃墜されている。

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プリゴジンはクレムリンに対し、2つの要求を提示。ワグネルへの攻撃をやめること、そして、ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の身柄の受け渡しだ。要求が通らなければモスクワに進軍すると言及。プリゴジンの行動に対し、プーチン大統領は緊急演説を行い、クーデターに関わった全員を国家反逆罪として処罰すると言明。プリゴジンも玉砕覚悟と発言、24日遅くにはモスクワまで200km圏内に来たとTelegramで発信するなど、全面的な軍事衝突が危惧された。

しかし、状況は目まぐるしく変化する。この状況にロシアの同盟国であるベラルーシのルカシェンコ大統領がなぜか仲介に入り、プリゴジンはモスクワ方面への進軍を停止、流血の事態を避けるとして部隊に各拠点に戻るよう命じた。クレムリンは軍事クーデターを停止する条件としてのプリゴジンとワグネル戦闘員を反乱罪に問わない決定を下し、プリゴジンのベラルーシへの安全な出国を保障。しかし、国に銃口を向けた人物を何も無かったことにできるほど、ルカシェンコがロシアに対して影響力があるように思えない。実際はプーチンが妥協したが、クレムリンが直接プリゴジンを免責にすると体裁が悪いためルカシェンコを立てたのではと邪推してしまいます。

結果、プリゴジンはベラルーシへの亡命となり、ワグネルはロシア軍に吸収されることになる。これはプリゴジンの敗北となり、彼が作り上げたワグネルは事実上解体となる。彼の怒りの矛先だったショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長も今のところ、更迭や役職の変更はない。つまり、プリゴジンは何も目的を果たすことなく、プーチンのために何万という戦闘員を失い、彼が心血を注いで作り上げた民間軍事会社ワグネルをも失うことになる。

処罰は免責されたと言ってもプリゴジンに付いていった戦闘員たちは前途多難だろう。蜂起に参加しなかった兵士はロシア軍に編入されるが、おそらく軍では冷遇され、ウクライナ前線に投入され、弾除けに使われる可能性も高い。参加した兵士も罪は免責されるが、ロシアで本当に何も咎め無しというのは信じがたい。また、ワグネルが展開しているのはウクライナだけではない。シリアやアフリカ、南米といった親ロシアの国でも傭兵事業を展開。各国で軍事指導や警備、表向きロシア軍が関与できない任務を代わり請け負っている。これらの事業がどうなるのかも気になるところだ。ルカシェンコがケツをもってを事業を継続するのだろうか。そもそもワグネルは登記上はロシア企業ではないので、ロシア国内でやっている事業を解散させたり、資産を没収することはできるが、ワグネル本体を解体することはできない。

プリゴジンの行動は本当にこれで終わるのだろうか。目まぐるしく状況が変化する中でまだ予断を許さない。

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Source

【ロシア】ワグネルがモスクワへの進軍停止、プリゴジン氏は出国へ – Bloomberg

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