防衛大や士官学校の卒業式で帽子を投げるのはなぜ?

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防衛大や士官学校の卒業式で帽子を投げるのはなぜ?

防衛大学校の卒業式の風物詩といえば、卒業生が最後に帽子を空高く投げてダッシュで講堂を去るシーンだろう。ダッシュするのは日本だけだが、海外の士官学校でも卒業式では帽子を投げるところは多い。アメリカでは士官学校だけではなく、一般の大学の卒業式でも見られる光景だ。この帽子を投げる風習は一体いつからでどういう意味があるのだろう?

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防衛大で帽子を投げるのはなぜ?

防衛大の卒業生が帽子を投げるようになったのはアメリカの影響になる。大戦中までは陸軍・海軍それぞれの士官・兵学校にて将校の養成を行っていたが、当時は帽子を投げる風習は無かった。むしろそんな事をすれば上官に殴られるような時代だ。第二次大戦に敗戦すると軍は解体、当然、士官学校も解体される。その後、サンフランシスコ条約によって国家主権が回復した1952年に防衛大学校の前身である保安大学校が創立され、1954年に今の防衛大学校という名前になる。当然、この時には戦前の前時代的な軍人精神は無くなっており、アメリカの影響を色濃く受けた士官学校になる。そんな中でアメリカの士官学校の卒業式で行われていた帽子投げが日本にも伝わり、防衛大での卒業式でも行われるようになる。

最初に帽子を投げたのは?

では、最初に帽子を投げたのはいつ?どこなのか?
初めて卒業式で帽子を投げたのはアメリカはメリーランド州アナポリスにある海軍兵学校になる。創立されたのは1845年になり、当時アナポリスはアメリカの首都であった。米国内では2番目に古い士官学校になり、国内屈指のエリート養成校になる。数多くの優秀な海軍・海兵隊士官を送りだしており、卒業生にはカーター元大統領、ジョン・マケイン上院議員などがいる。地元では観光名所としても有名な場所だ。

この学校が始めて帽子投げを行ったのが1912年になる。一人前の士官になるためには最初の2年間は学校にて士官候補生として勤めを果たさなければならず、その間は候補生用の帽子をかぶらなければならなかった。そして2年間の勤めを終え士官候補生たちが卒業するにあたり、今度は新しい士官用の帽子が卒業生たちに渡された。そして、彼らは不要となった古い帽子を空中に放り投げた。それは彼らの卒業と士官になったという開放と喜び表していた。この伝統は瞬く間に他の士官学校、そして、一般の大学まで広まり、卒業式のシンボルとなった。

ちなみにアメリカでは投げ終わった帽子はお土産として子供達や参列者が拾い集める。そのため帽子の内側には卒業生がメッセージを書き、軍のコインや僅かなお金を入れるのも伝統になっている。

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