仮想空間にリアルな戦場を作り出し、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を着けることで、どこにいても、あたかも戦場にいるかのような没入感を味わうことができるVRは軍事・防衛の分野で開発、利用が進んでいます。VR空間ではM2ブローニング重機関銃でさえも本物を扱うように再現できます。
実物大のM2重機関銃 を使ったVR
軍用VRの主な用途は兵士の訓練として、実際に戦場で起こるシーンをシミュレーションできることです。基本的には歩兵用で、アサルトライフルやハンドガンを使用したシチュエーションが主になるなか、 先進的なハプティック(触感情報伝達)技術を開発するアメリカのHapTech社は戦闘車両に搭載される大型のM2ブローニング重機関銃をVRで再現しました。使用する機器は実際のM2重機関銃と実寸大の大きさになります。 HMDはHTC社製のHTC Vive Proを装着しています。
実物のM2重機関銃は50口径のショートリコイルになり弾帯式になります。 弾帯の第1弾を給弾口に差し入れた後にはコッキングレバーを後方へ引く必要があります。 VRで再現されたM2重機関銃では実物と同等のショートリコイルショックを味わうことができます。装填の際は同じようにコッキングレバーのアクションが必要になるなど、細かいギミックまで再現されています。このリアルな操作は 「実際の反動に非常に近い」 と体験した兵士も認めています。
M2重機関銃は80年以上の歴史を持つ銃でありながら、今でも戦場の最前線で利用されており、米国だけではなく、諸外国の軍で広く使用されている武器であるため、軍事訓練用にシミュレートされたM2のVRは大きな市場と需要が見込まれています。実際のM2で訓練するよりも費用対効果が高く、メンテナンスも楽というメリットがあります。
HapTech社 はM2の他にもアメリカ軍の主力アサルトライフルであるM4カービン、ハンドガンではグロックのVRの開発も行っており、今後も銃のレパートリーを増やしていく予定です。
https://www.roadtovr.com/haptech-electromagnetic-recoil-haptics-military-vr-training/