軍用犬とは軍務のために訓練された犬になり、人間より優れた嗅覚、聴覚を用いてい、警備、捜索、爆発物探知の役割を担っています。アメリカ軍ではK9と呼ばれ、各地の紛争でも活躍しています。そんな軍用犬の中にも特殊部隊があり特殊軍用犬というのが存在します。
軍用犬の歴史は古い
軍用犬の歴史は古く、日本では古来より戦で利用されていきました。1336年の「南北朝時代の戦い」では偵察犬として用いられたことが古典『太平記』に記されています。あの時代に犬がどうやって偵察したのかは疑問ですが、戦国時代においては伝令犬として利用された記録も残っています。軍用犬として本格的に利用されたのは1894年の日清戦争からで、主に警備犬として運用されます。その後も伝令、歩哨として第二次世界大戦終戦まで軍用犬は運用されます。現在では海上自衛隊で警備犬、航空自衛隊で歩哨犬として運用されており、陸上自衛隊においては運用が廃止されています。
アメリカでは1775年のアメリカ独立戦争で伝令犬としての運用記録があり、その後、第一次世界大戦を経て、第二次世界大戦で本格運用が始まります。
昔の軍用犬
スタビー軍曹(1916年 – 1926年3月16日)は第102歩兵連隊(アメリカ合衆国)の公式マスコットであり、第一次世界大戦で第26師団に配属された軍用犬です。その嗅覚を活かし、毒ガス攻撃から多くの味方を救いました。
第二次世界大戦時のアメリカの軍用犬は警備、伝令、地雷探索といった様々な任務をこなしました。
山岳地帯を行軍する日本軍の軍用犬です。
特殊軍用犬
米軍には特殊な訓練を受けた特殊部隊が多数存在しますが、軍用犬の中にも特殊訓練を受けた特殊軍用犬が存在します。彼らはシールズ、デルタフォースといった特殊部隊と共に特殊作戦の任務をこなします。
軍用犬となる犬はトレーナーと93日間に及ぶ訓練プログラムを経て、スキルを強化し、その後、現実世界のシナリオでチームとともに訓練をこなします。軍用犬になるために集められた犬の約50%が実際に採用され、その適正に応じて様々な部隊に配属されます。特殊軍用犬に採用される犬は最もストレスの多い状況でも冷静さを保ち対応できるように特別に訓練されています。動きは素早く、静かで、ライフルの射撃音や爆発音にもビビることなく、命令以外で吠えることもありません。任務では爆発物やターゲットの探索、時にはターゲットへの攻撃も行います。軍用犬にはハンドラーと呼ばれる人間のパートナーが必ず付きます。
特殊部隊は主に特殊作戦といわれる機密作戦が多く、敵陣深くに空から侵入します。それはヘリコプターだったり、航空機からダイブになります。そのため、特殊軍用犬も一緒にヘリに乗り、時には共に空からダイブする場合があります。これに怯えない強いメンタルが必要がになります。
特殊作戦をこなすための軍用犬専用の装備も用意されています。写真のヘルメットは近未来的なシルエットに目と頭部を保護し頭部にはカメラもついています。ボディのハーネスも含めこれらは防弾仕様になっています。
実際に参加した作戦
オサマ・ビン・ラディンをを殺害した2011年の「ネプチューン・スピア作戦」では軍用犬がネイビーシールズと共に拠点を強襲して、作戦の成功に貢献しています。また直近では2019年10月のISISの最高指導者バグダディを殺害した「ケーラ・ミュラー作戦」でデルタ・フォースとともに敵拠点に突入し、トンネルに逃げるバクダディを追い詰めました。その際にバクダディの自爆に巻き込まれ重傷を負いますが一命は取り留めたようです。
捕虜になることも
犬といえど、軍属の彼らは軍人ならぬ軍犬です。時には敵に捕らわれ捕虜になることもあります。2014年にはアフガニスタンで活動していたイギリス軍の軍用犬がタリバンに捕まる事案が発生します。タリバンはその犬をFacebookに公開して、銃を持ったタリバンの兵士に囲まれ怯えるイヌの映像が公開されました。
まとめ
いかがでしたか? 人間顔負けの降下訓練に任務。特殊部隊と一緒に作戦をこなしちゃうんです。アメリカでは優秀な軍用犬には勲章も授与されます。そんあ優秀な軍用犬だと階級が一般兵よりも上とかありそうですね。