アメリカ軍の高機動車両といえば AMゼネラル (AMG)が開発、製造しているハンヴィー(又はハンビー、英語の場合「HMMWV」または「Humvee」)。戦争映画やアクション映画で見たことある人も多いと思うが、ハンヴィーが今後、ゲームで見られなくなるかもしれない裁判がアメリカで起きている。
Call of Dutyが訴えられる
『Call of Duty』(コール・オブ・デューティー)といえば『CoD』シリーズとしてリアルな戦場を描いた日本を含め世界で人気のFPSゲームになる。このゲームにハンヴィーが登場するようになったのは2007年に発売された『Call of Duty 4: Modern Warfare』になる。だが、このハンヴィーの利用についてCodはAGM社に対して一切許諾を得ずに10年以上使用していた。これに対してAMG社はハンヴィーの商標を侵害しているとして2017年に訴えを起こし、商標に関するコンテンツの差し止めと損害賠償を求めている。『Call of Duty』を提供するActivision(アクティビジョン)社はAGM社と協議を行ってきたが、進展はせず、Activision社は此度、アメリカ合衆国憲法修正第1条に基づき、AGMの訴えを棄却しようとしている。
Activision社の言い分は以下になる。
架空の世界を描いたCall of Dutyというゲームにおける単なる車両の描写に商標法を用いて管理しようとしている。表現的著作物の内容を制限するために商標権を用いることは危険です。この訴訟の主張の対象は、アメリカの納税者によって支払われた税金で購入され、過去30年間のあらゆる軍事紛争でアメリカ軍の軍用車両をとして使用、派遣されたものだ。
ハンヴィーは現代のアメリカ軍の一般的な備品であり、現代の戦争についての真実を論理的に表現するうえで、ハンヴィーにはAMGの製造プロセスとはまったく関係のない文化的および歴史的意義があります。AMGのその主張を肯定することは、あらゆるメディアが21世紀のアメリカ軍の軍事史を表現する上で束縛を与えることになるだろう。
要約すると、ハンヴィーは税金で購入された備品であり、長年、アメリカ軍の主力車両と使用されており、紛争を表現する上でなくてはならないもので公共性が高く、商標で縛ることは表現の自由を束縛することなるといいう理由だ。
しかし、この主張に対し、AMGは以下のように反論している。
被告のActivision Blizzard、Activision Publishing、Major League Gamingは、AMGの象徴的な車両であるハンヴィーを軍用車両として使用し、コピーライトも不正利用し、数十億ドルを稼いでいます。それに対し、Activisionは、当社に許可を求めたり、得たりしていませんでした。Activisionの行為は、とりわけ、ランハム法(商標法)に基づく商標及び、コピーライトを侵害している。
つまり、ハンヴィーを当社に無断で利用して、あなた達は収益をあげているのだから対価を払いなさいということになり、AMGは一歩も引く気はない様子。
もし、AMGが勝つと…
この訴訟でもし、AMG社が勝った場合、『Call of Duty』でのハンヴィーの利用はできなくなるのは勿論、他のゲームにも影響が出てくる。AMG社はハンヴィーの利用についてはライセンス許諾を実は与えており、いくつかのゲームではライセンス許諾のもとハンヴィーを利用している。 では、ライセンスを取ればいいのではと思うかもしれないが、ライセンスは有償になってくるので開発費が増える。かつ、今回、兵器メーカーが勝訴する判例が出ると、他のメーカーも追々してくる可能性があるのだ。そうなってくると他の兵器の利用もライセンス費用が発生してくる。全ての兵器のライセンスを取れば開発費が膨れ上がるので、そうなると、ゲームの中で本物を利用しずらくなる。そうなるとどうなるかというと、ゲームに現れる兵器は全て現実世界にはない架空の兵器ばかりになってしまうのである。さらにハンヴィーはアメリア軍だけではなく、世界60各国の軍でも利用されており、アメリカだけの影響に留まらない可能性もある。
メーカー側の言い分もわかるが、ユーザーがゲームを引き続き楽しめるような決着点を見つけてほしい。
https://kotaku.com/activision-says-a-call-of-duty-lawsuit-is-a-direct-att-1835217591
https://jalopnik.com/humvee-maker-sues-activision-for-trademark-infringement-1820264721