12月20日に公開予定の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 。第三章三部作もこれで完結となります。この三部作に悪役として、強烈な存在感を放っているのがカイロ・レン。ソロとレイア姫の息子で強力なフォースを持ち合わせていたがダース・ベーダーを崇拝し、ダークサイドに落ち、銀河帝国残党の組織ファーストオーダーの幹部の一人として指揮をとる 第三章の物語の重要人物になります。この役を演じるのが俳優アダム・ドライバー。ダース・ベーダーを思い起こさせるような邪悪さと、軍人・幹部として威厳や畏怖を見事に演じています。この演技のベースには彼の以外な過去がありました。
アダム・ドライバーは元海兵隊だった
アダム・ドライバーは牧師の息子として1983年11月19日にカリフォルニア州サンディエゴに生まれます。 彼が18歳という多感な青年期に2001年9月11日に同時多発テロ「9.11」が起きます。ニュースを見たアダムはどうしようもない怒りと悲しみに苛まれ、そして愛国心が沸き起こります。この溢れる愛国心に居ても立ってもいられなくなったアダムはアメリカ海兵隊に入隊することを決めます。この時、周りの友人たちも軍隊に入ると宣言していましたが実際に入ったのはアダムだけだったそうです。
入隊後、彼は第1海兵師団第1海兵連隊第1大隊に配属になり、81㎜迫撃砲を担当していました。彼は2年半に渡って海兵隊に勤務するも実際に戦地に派遣されることはありませんでした。それには理由があり、彼は戦地に派遣される前にマウンテンバイクに乗って事故に遭い、胸骨を骨折してしまいます。彼は入院によって失った体力を激しい訓練で取り戻そうとしましたが、兵役期間終了の時期を迎え、医学的な理由で退役を余儀なくされます。退役時の階級は伍長勤務上等兵でした。
彼は軍での経験を振りかえってこう述べています。
「厳しさ、規律、友情が恋しい。自部が他の人と比べて死ぬ可能性が高いことに気づかさせる。そして、死の可能性とその日に何ができるかを考える。そうすると時間は貴重であり、無駄にできないと気づくんだ。
退役後、アダムはジュリアード音楽院に入学して演劇を学びます。実は海兵隊に入隊する前にも同音楽院を受けていましたが、その時は不合格になっていました。兵役が彼の演技の特徴を秀でさせました。無事、俳優へ向けた第一歩を踏み出しますが、入学当初はその海兵隊での立ち振る舞いが同級生からは威圧的で不安定な人物と見られていました。海兵隊時とはまったく異なるライフスタイルに適応するのに苦労したと後に述べています。2009年には美術学士号の学位を取得し卒業します。そして、拠点をニューヨークに移し、同年に『The Unusuals』でテレビデビューをします。2011年にはクリントイースト・ウッド監督の『J・エドガー』でスクリーンデビュー。そして2014年の『スターウォーズ/フォースの覚醒』でカイロ・レン役として出演し、世界的な人気を得ることになります。カイロ・レンの威圧的で不安定な演技は海兵隊時代の経験が生きているのかもしれません。 アダムはカイロ・レンの演じた後のインタビューで「軍隊と比較して、演技はそれほど難しくない」 と述べています。
退役軍人のため芸術団体を創設
アダムは2006年に世界中の現役軍人、退役軍人、軍事支援スタッフおよびその家族に向けて無料で演劇を提供するArts in the Armed Forces、Inc.(AITAF)という非営利団体を設立しています。AITAFのウェブサイトには以下のようなミッションが記載されています。
AITAFの使命は、芸術の強力な共有経験を使用して、軍隊と民間人、軍人と家族、芸術の世界、実践的な行動の世界との会話を開始することです。
https://aitaf.org/
アダムの声に賛同し、多くのハリウッド俳優・スタッフが参加しています。
https://www.theguardian.com/film/2017/dec/09/adam-driver-acting-military-star-wars-the-last-jedi
https://www.usveteransmagazine.com/2019/09/veterans-day-mean/