爆撃機や偵察機をモニターを見ながら遠隔操作のドローンを飛ばすようになってから久しいが、今度は戦車も遠隔で操作する時代になるかもしれません。それこそゲームをするようにゲームコントローラーを使って操縦することになるかもしれないのです。
まるでテレビゲーム
The Time of Israelによるとイスラエル国防相は 4日、「未来の戦車」の試作機を公開しました 。これは3年前に始動した「カルメル装甲戦闘車両計画(AVF)」のプロジェクトの基、国営のイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)とラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ(Rafael)、民間のエルビット・システムズ(Elbit Systems)の国内3社に同計画の開発を依頼したものになります。
公開された動画では、戦車に乗り込む2人の搭乗員が180度に配置されたパノラマディスプレイのモニターから車外の情報を確認し、タッチパネルと操縦桿、そして、テレビゲームのコントローラーで操縦、攻撃している様子が目に取れます。このコントローラーはなんとXboxのコントローラーです。車外にはセンサーやカメラが設置されており、360度をモニターに映し出すことが可能になり、拡張現実(AR)を用いて搭乗員はターゲット、友軍、重要な場所をモニターに照らし合わせてすばやく確認できます。AIも搭載されており、自律走行、自動での目的識別も可能になっており、搭乗員の状況判断と操縦を手助けします。当初は戦車への採用を考えていましたが戦車だけではなく、他の戦闘車両への採用も検討されています。すでにアメリカ軍は視察しており、今後、諸外国の軍にもお披露目する予定になっています。
搭乗員が4人から2人に削減
戦車は通常、4人の搭乗員によって操作されます。指揮官こと「車長」は戦車の責任者であり、攻撃、移動などの命令を他の搭乗員に与えます。「操縦手」は車長の命令のもと、戦車の操縦、移動を行います。「砲手」は攻撃命令に従い、目標物に対し、主砲や副武装にて攻撃を行います。「装填手」は次弾の砲弾の装填を行います。しかし、最新の3.5世代以降の戦車は自動装填装置が採用されており、装填手は搭乗せず3人の搭乗員で操作を行います。今回開発されたAVFが戦車に搭載されると、1人ないしは2人の搭乗員が削減でき、最少人数で移動から攻撃までの操作が可能になります。
ゲーマーが軍にスカウトされる時代が来るかも
コントローラーで操作して、移動、攻撃するシーンはさながら戦車ゲーム「World of Tank」のようです。 自動化され、搭乗員が減るということは、センサー、AIを用いたとしても1人の負担は増すことになり、操縦も複雑化します。しかし、ゲームではそれを全て一人で行っています。敵が迫った時に素早くコマンドを入力できるかどうかは、兵士としての能力よりも、ゲーマーとしての能力が必要になりそうです。現状では搭乗員が載る想定ですが、遠隔操作でも操縦は可能でしょう。武器を使い、人を殺めるかもしれない戦車をゲームを扱う気分で使用してはなりませんが、ゲーマーが戦車の搭乗員としてスカウトされる時代が来るかもしれません。
https://www.timesofisrael.com/defense-ministry-unveils-3-prototypes-for-israels-tanks-of-the-future/