海上自衛隊の艦船の色というと、低視認塗装といわれるグレーの統一色。これは自衛隊だけに限ったことではなく、アメリカ軍をはじめ、多くの国の軍用艦船が採用しています。しかし、そんな艦船が迷彩模様を施している時代がありました。それが1910年代の第一次世界大戦から1940年代の第二次世界大戦にかけて施されたダズル迷彩です。
幾何学模様のようなダズル迷彩
迷彩、いわゆるカモフラージュの目的は、周囲に同化し、カモフラージュすることで自身を目立たなくし、敵から発見しにくくすることです。しかし、ダズル迷彩は目的が異なります。ダズル迷彩は幻惑迷彩とも言われ、カモフラージュするのではなく、敵を幻惑させるための迷彩です。発見時に目視による距離、艦影、速度、進行速度など分かりにくくさせ、射撃管制を混乱させることが目的です。一見目立ちそうな迷彩模様ですが、洋上では通常のカモフラージュ効果は望めないとの判断から、考案された迷彩です。しかし、この迷彩もレーダーの発達ともに効果をなくし、現在ではダズルというとアートやデザイン手法の一つになっています。
ダズル迷彩の艦船たち
実際にダズル迷彩を施した艦船の写真を紹介します。
イギリス海軍戦艦ラミリーズ。第一次、第二次世界大戦に参戦。砲塔から艦首までダズル迷彩が施されています。
イギリス海軍戦艦リヴェンジ。第一次、第二次世界大戦に参戦。艦によって迷彩模様は違うようです。
アメリカ海軍駆逐艦USS チャールズSスペリー。太平洋戦争に参戦。こちらは直線的ブロックな迷彩模様です。
日本海軍の船にも施され、こちらは空母”瑞鳳”の甲板のダズル迷彩です。甲板に施されていることから、航空機にも効果があったようです。
アメリカ海軍護衛駆逐艦USSスレーター。第二次世界大戦に参戦し、唯一現存する駆逐艦。ニューヨーク州のオールバニにある護衛駆逐艦歴史博物館として停泊しており、内部の見学が可能です。赤いのは消防艇になりこちらもダズル迷彩。
こちらは艦船名が不明ですが、確かに目が混乱させれます。
数は少なりましたが、アメリカ、北欧諸国の国々など現役の艦船でもダズル迷彩は採用されています。
こちらは戦車にダズル迷彩装備を施したもの。地上兵器にもダズル迷彩は施されていました。
銃にも。この場合は幻惑効果というよりもデザインです。
エアガンをダズル迷彩仕様にするのもいいかもしれません。
ガンプラの塗装にもダズル迷彩。モビルスーツには合いそうです。ミノフスキー粒子が濃い宇宙空間ではレーダーが効かないので有効なのでは?
車の外装デザインにする人も多いようです。 対向車が幻惑されないか不安です。
今ではアートやデザインで多数見かけますが、軍用迷彩が起源だったとは驚きですね。
いかがでした? 本来の迷彩としての役割は終えた感じはありますが、デザインとして今でも生き続けるダズル迷彩。あなたの身の回りにも取り入れてみたらどうでしょう?